台湾の裁判所 中国スパイ事件で元軍曹2人に実刑判決

2026/08/24
更新: 2026/08/24

裁判所の判決によると、被告らは個人的な借金の返済に充てるため、スパイになることを決めた。

 

【台北】台湾の裁判所は、中国共産党(中共)のためにスパイ活動を行ったとして、元軍曹2人に少なくとも7年の懲役刑を言い渡した。民間人の共犯者にも実刑判決を下した。

台湾高等法院高雄分院は8月19日、現役中にスパイ活動に関連する犯罪を行ったとして、陸軍の元軍曹で姓がファンの被告と、空軍の元軍曹で姓がホアンの被告に、それぞれ懲役刑を言い渡した。

ファン被告には、収賄罪で懲役10年4か月、台湾の国家安全法違反で懲役2年、文書偽造で懲役2か月がそれぞれ言い渡された。

ホアン被告には、収賄罪で懲役7年が言い渡された。

裁判所によると、ファン、ホアン両被告は、中共の情報機関が台湾に対する「統一戦線」工作のために設立したフロント組織「臥龍会」に加わった。両被告は個人的な借金を解消するために同組織へ加わり、組織への忠誠を誓う動画まで撮影したという。

ホアン被告は同組織と関係する工作員に機密資料を渡し、46万7千台湾ドル余り(約233万円)を受け取った。ファン被告は機密指定されていない資料を提供し、41万4500台湾ドル(約207万円)を受け取った。

ファン被告は、軍の同僚に加入を働きかけ、台湾国内にスパイ網を構築することで同組織を支援しようとしたが、勧誘は成功しなかった。

裁判所によると、民間人の共同被告で姓がパンの被告は、同組織の指示に従い、中国から派遣された工作員に機密を渡したほか、ファン被告への賄賂の受け渡しや借金の返済を行い、ホアン被告をスパイ組織に勧誘することにも成功した。この役割により、パン被告は3万台湾ドル(約940米ドル)の不法な利益を得た。

パン被告には、国家機密を引き渡した罪で懲役4年、台湾の国家安全法違反で懲役4年、贈賄罪で懲役1年2カ月がそれぞれ言い渡された。

裁判所は量刑理由について、ファン、ホアン両被告が台湾を守る義務を宣誓していたことを強調した。

裁判所は、台湾の正式名称に言及し「両被告には、中華民国憲法を順守し、国家に忠誠を尽くし、国家安全保障を守る職務を遂行する義務があった」と指摘した。

その上で、「しかし、個人的な借金を解消しようとする貪欲さに駆られ、台湾海峡を挟んだ軍事的対峙が続いている状況を顧みず、賄賂を受け取って職務上の義務に背き、中国から派遣された工作員に国家機密を渡して法律に違反した」とした。

3人は3月に起訴されていた。

今回の事件は、中国の共産党政権と台湾の間にある、より広範な緊張関係を浮き彫りにしている。中共は、自治を行う台湾を自国領と主張し、必要であれば武力を用いて台湾との統一を実現する。

中共の「統一戦線」工作は、統一戦線工作部が主導している。同部は、市民団体の取り込み、情報収集、他国の政治環境の形成、世論への影響を任務とする組織のネットワークを監督している。

台湾の国営通信社である中央通訊社は8月18日、臥龍会に関係する類似の事件を報じた。高雄の検察当局は、台湾軍人で姓がチアンの被告を汚職と台湾の国家安全法違反の罪で起訴した。

同通信社によると、チアン被告は2019年10月から2025年1月まで台湾の憲兵隊で軍曹を務めた後、予備役旅団に軍曹として再入隊した。

検察当局によると、チアン被告は個人的な借金を解消するため同組織に加わり、台湾と中国の統一への支持を表明しながら、組織への忠誠を誓う動画を撮影した。

同通信社によると、チアン被告は不法な報酬として60万台湾ドル近く(約1万9千米ドル)を受け取った疑いがあり、軍事システムに関する電子ファイルと、機密指定された電子記録の写真を引き渡したとされる。

台湾在住のジャーナリスト。米国、中国、台湾のニュースを担当。台湾の国立清華大学で材料工学の修士号を取得。