ベルギーの検察当局は、中国とベルギーの二重国籍を持つ男H.L.(52)が、半導体技術を巡るスパイ活動に関与した疑いで、今年5月から勾留されていると明らかにした。
ロイター通信やベルギーメディアが9月7日に報じた。
検察によると、H.L.は過去にベルギーの半導体メーカーBelGaNで幹部を務めていた。同社は2024年7月に破産した。
BelGaNはオウデナールデに拠点を置き、約40年にわたり事業を続けてきた。設立にはフランデレン政府も関わり、ベルギーの半導体分野における先駆的企業の一つだった。
同社はベルギー最後の産業用半導体メーカーで、窒化ガリウムを使った半導体を開発・生産していた。こうした半導体はEVや航空宇宙、軍事分野などで使われている。
H.L.には、窒化ガリウム半導体の製造に関するBelGaNの知的財産や営業秘密を、不正に海外へ移転した疑いが持たれている。
ベルギー在住のH.L.は5月10日、北京行きの航空機に搭乗しようとしていたところ、ブリュッセル近郊のザベンテム空港で逮捕された。
検察によると、H.L.は現在も勾留されており、別の容疑者1人は逃走中だ。
ベルギー紙「デ・スタンダード」によると、H.L.にはスパイ活動のほか、営業秘密の不正な漏えい、犯罪組織への関与、会社資産の不正流用、破産法違反などの疑いも持たれている。ベルギー連邦検察もこれを確認した。
中国企業への技術流出を捜査
BelGaNは2024年に破産した。当初は経営上の理由によるものとみられていた。
捜査当局は現在、2021年にBelGaNを買収した中国の所有者が、同社の事業拡大ではなく、技術を中国へ移すことを目的としていた可能性を調べている。
デ・スタンダードとベルギーのフランス語公共放送RTBFが入手した情報も、この疑いを裏付けている。
BelGaNの破産により、420人が職を失った。司法当局は当初、詐欺行為の有無を調べていたが、ベルギー国家保安局から提供された情報などを受け、捜査の焦点は次第に技術流出疑惑へと移った。その後、ルーベンに住むH.L.が逮捕された。
ベルギーメディアによると、H.L.はBelGaNに入社して数か月後、中国の半導体企業Gankool(福州鎵谷半導体)でも幹部職に就いていた。
Gankoolは、中国の所有者がBelGaNを買収した後まもなく設立され、中国の投資ファンドから出資を受けていた。
Gankoolでは、BelGaNと同じ半導体製造技術が使われていた。
デ・スタンダードは、BelGaNが保有していた知的財産や営業秘密をGankoolへ移す仕組みが構築されていた形跡があると報じた。
また、Gankoolに関与していたBelGaNの元幹部はH.L.だけではなかった。
BelGaNの最後の最高経営責任者(CEO)を務めた中国籍のアラン・ジェン・ジョウ(Alan Zhen Zhou)も、Gankoolに関与していたとされる。
デ・スタンダードとRTBFが入手した情報によると、ジョウもベルギー司法当局の捜査対象となっている。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。