中国の大学 保護者の収入・勤務先を収集 共有表で学生情報も公開か

2026/09/19
更新: 2026/09/19

中国本土の複数の大学で、新入生に保護者の身分証番号、勤務先、月収などの提出を求める事例が相次いでいる。学生の電話番号や住所などを共有スプレッドシートで閲覧可能にしていたとの指摘もあり、過剰な個人情報収集と情報漏えいへの懸念が広がっている。浙江師範大学では、父母それぞれについて12項目の入力を求めていたと報じられた。

保護者の収入・勤務先など12項目を入力要求

『南方都市報』が9月18日に報じたところによると、浙江師範大学の大学院修士課程に入学した学生は、オンラインでの入学手続き中、父親と母親について、それぞれ12項目の情報の入力を求められたという。

入力項目には、身分証番号、宗教、政治的属性、健康状態、勤務先、勤務先の住所、平均月収などが含まれていた。

これらの項目は当初、すべて必須入力とされ、空欄のまま手続きを進めることはできなかった。投稿が拡散した後、ネット上では、勤務先の住所や月収など一部の項目が任意入力に変更されたとの指摘も出た。浙江師範大学は、記事掲載時点でコメントを出していない。

同様の事例は、ほかの大学でも確認されている。山東省のある医学系専門学校では、新入生に家族の年収、勤務先、役職などの記入を求め、未記入の場合は学費の納付や入学手続きができない仕組みになっていたとされる。河北省秦皇島市のある4年制大学でも、世帯年収などの記入を求めていたことが報じられた。これらの学校も、記事掲載時点でコメントを出していない。

ネット上では、「親の役職や収入が、自分の大学進学と何の関係があるのか」「これほど詳細な情報を記入することが、大学生活にどのように必要なのか」と疑問の声が上がっている。

共有スプレッドシートで学生情報を閲覧可能に

問題となっているのは、情報収集を強いる行為だけではない。一部の大学では、グループチャットや共有スプレッドシートを使って学生情報を扱い、ほかの学生も個人情報を閲覧できる状態になっていたという。

今年4月、ある大学生は学内マラソンに申し込んだ後、自身の申込情報が一覧表として出力され、ビジネス向けチャットアプリ「釘釘(DingTalk)」のグループ内で共有されていたことを知った。公開された表には、学生の氏名、身分証番号、電話番号、衣服のサイズ、緊急連絡先の電話番号が記載されていた。学生が異議を申し立てた後、身分証番号の欄は削除されたという。

大学生の「甜甜」さんは『南方都市報』に対し、クラスでは共有スプレッドシートを使って、携帯電話番号、身分証番号、自宅住所、実習先、大学院進学試験の受験予定の有無などを頻繁に収集していると証言した。学生が記入した後は、クラスの学生全員が内容を閲覧できる状態だったという。

別の卒業生「然然」さんは、大学が卒業後の学生記録の送付先をまとめた一覧を、クラスのグループチャットに投稿したと述べた。200人を超える学生の詳細情報を、クラスの誰もが確認できる状態で、「プライバシーなどあったものではない」と語った。

2020年には、鄭州市のある大学で、約1万人分の学生情報が漏えいする事件も起きた。流出した情報には、氏名、身分証番号、学部・専攻、学生寮の部屋番号などが含まれ、一覧表はその後、微信(WeChat)やQQで拡散された。大学側は後に、職員の守秘意識が不十分で、学生名簿を整理する過程で情報が漏えいしたと認めた。

専門家が指摘する過剰収集と大学側の管理責任

中国工業情報化部の情報通信経済専門家委員会の委員、盤和林氏は、大学が学生本人の同意を得た上で緊急連絡先を収集することは可能だとしつつ、保護者の身分証番号、月収、勤務先は必要な情報とはいえず、提出を強制すべきではないと指摘した。

上海申倫法律事務所の夏海龍弁護士も、安全上の必要性を理由にする場合であっても、大学が求めることができるのは、学生が任意で提供する親族の連絡先に限られるとの見解を示した。身分証番号、収入、勤務先などの提出を必須とされた場合、学生と保護者には提出を拒否する権利があるとしている。

中国本土の個人情報保護に関する規定では、個人情報を収集する際、その目的と直接関連していること、かつ必要最小限の範囲にとどめることが求められている。しかし、複数の大学で保護者の情報を強制的に収集したり、学生の個人情報を共有表で公開したりする事例が相次いでいることは、こうした規定が十分に機能していない実態を浮き彫りにしている。

『南方都市報』は、個人情報保護に関する規定が施行されてから長年が経過した現在も、一部の大学が保護者の情報を強制的かつ過剰に収集し、共有スプレッドシートを通じて学生の個人情報を公開していることについて、大学側の管理担当者に違法リスクに対する基本的な認識が欠けている表れだと論じた。

さらに同紙は、大学が学生の情報を安易に収集・公開する一方、教職員について同じような方法で情報を収集することはほとんどないと指摘した。そのような扱いの差に、どのような根拠があるのかと問いかけた。