中国では、電気自動車(EV)の使用済み電池の発生量が、2030年に年間100万トンを超えると予測されている。しかし、こうした使用済みの駆動用電池をどのように処理するかについて、中国では現在も健全かつ安全な回収・処理ルートが整備されておらず、不適切に処理された場合、深刻な環境汚染をはじめとする多くの問題を引き起こす恐れがある。この話題は9月6日、中国のインターネット上で検索上位に入った。
中国共産党(中共)当局の推進を受け、中国ではEVが急速に普及し、それに伴って車載用電池の需要も大幅に増加した。一方、電池容量が定格容量の80%を下回るまで低下すると、性能が車両の走行要件を満たせなくなり、使用できなくなる可能性があるため、廃棄する必要が生じる。こうした駆動用電池が現在、大量廃棄の時期を迎えつつある。
中国中央テレビ(CCTV)の報道によると、2030年には、中国で年間に発生する使用済み駆動用電池が100万トンを超えると予測されている。
中国では、多くのEV所有者が駆動用電池の回収先を知らない上、現時点では回収拠点も不足している。このため、使用済み電池が非正規の解体ルートに流れ込みやすい状況となっている。
こうした使用済み駆動用電池には、ニッケル、コバルト、マンガンなどの重金属や有害物質が含まれており、もともと化学物質による汚染の危険がある。不適切に処理すれば、土壌や水源を汚染するだけでなく、火災や爆発などの事故を引き起こす恐れもある。
これについて、電子科技大学材料・エネルギー学院の呉孟強教授は、使用済み電池の回収サービス拠点の整備が遅れているため、回収ルートが十分に機能していないと指摘した。
呉氏によると、消費者の約45%が使用済み電池をどこに回収してもらえばよいのか分かっていない。また、大量の電池が非正規ルートに流れ、使用を終えた電池の6割以上が「小規模な非正規業者」を経由して流通しているという。
さらに、乱暴な解体作業が深刻な汚染問題をもたらしている。環境保護に関する資格を持たない小規模業者が手作業で解体し、残さや排ガスをそのまま排出することで環境汚染が生じているとした。
業界では一般に、使用済み駆動用電池には火災や爆発の危険があるとみられている。電池内部で短絡が起きたり、過熱、損傷したり、乱暴に解体されたりすると、熱暴走が発生しやすく、燃焼や爆発につながる。電池に残った電力が十分に放電されていない場合は、さらに危険性が高まる。非正規業者が適切でない方法で電池を解体したり、組み直したりした場合、問題が起きやすい。
また、化学物質や有害物質による危険もある。電解液に含まれるフッ素系有機溶剤などが漏れると、揮発性の有毒ガスが発生する可能性がある。正極や負極の材料に含まれるニッケル、コバルト、リチウム、マンガンなどの重金属イオンが土壌や水域に流入すれば、長期的な生態毒性や汚染を引き起こす。
非正規の解体では、強酸に浸したり、屋外で処理したりする方法が多く用いられ、漏出や汚染をさらに悪化させる。
このほか、使用済み電池が電動自転車などの分野へ流入するケースもある。大量の使用済み電池セルが解体後に再び組み立てられ、二輪や三輪の電動車両に使用されている。
CCTVなどの調査によると、電動自転車の火災の約3分の1は改造電池に関係しており、そのうち約8割の電池セルが新エネルギー車の使用済み駆動用電池に由来する。こうした電池はすでに性能が低下し、個々のセルの性能にもばらつきがあるため、過熱や短絡、発火を起こしやすい。
こうした危険性は、小規模な非正規業者や闇市場などの流通ルートで特に顕著となっている。
また、「世界および中国の駆動用電池リサイクル業界報告(2026年GEPT4U5)」によると、2026年には世界でリサイクル可能な使用済み駆動用電池の総量が380万トンに達すると予測され、2030年には1千万トンを超える規模の市場が形成される見通しである。
市場構造を見ると、アジア太平洋地域が世界の駆動用電池リサイクル処理量の70%以上を占め、その中でも中国市場が圧倒的にその中心となっている。
2025年、中国で使用を終えた駆動用電池は約120万トンに達した。一方、中国でこうした使用済み電池を処理する過程では、小規模な非正規業者による解体が安全面や環境面で問題を引き起こしている。
同時に、リン酸鉄リチウム電池は、高い価値を持つニッケルやコバルトを含まないため、リチウム価格が低水準で推移する時期には再資源化による経済的な利益が低く、正規事業者の回収意欲にも影響している。
ネットユーザーの「Helenbirdy」は、「自動車メーカーや電池メーカーには、車載用電池の交換についてもっと力を入れ、消費者にとって実際に利用できる選択肢をもっと提供してほしい」と述べた。
責任編集:孫芸
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