ロシアが実効支配する北方領土・択捉島を中国の代表団が訪問したことに対し、茂木敏充外相が10月14日の衆院予算委員会で、「第三国の政府・企業があたかも北方領土がロシア領であるかのような形で入域し、活動することは決して受け入れられない」と述べた。国民民主党の田中健議員の質問に答えた。
茂木敏充外相が14日の衆院予算委員会で、「北方領土は歴史的にも国際法上も我が国固有の領土だ」と強調し、「第三国の政府・企業があたかも北方領土がロシア領であるかのような形で入域し、活動することは決して受け入れられない」と表明した。
そのうえで、政府の立場を中ロ両国に伝達するとともに、適切な対応を求めたとし、「引き続き、状況を注視しながら対応していきたい」とも語った。
高市首相は13日、記者団に対し「我が国の立場に基づいて適切に対応する」と語っている。
13日、ロシア極東のサハリン州政府が中国・黒竜江省の実業家や行政当局者らが択捉島を訪問し、ロシアとの共同プロジェクトの実現可能性を調査したと発表した。
ロシア側の説明によると、代表団はウニやナマコの養殖に関心を示したほか、観光インフラの整備に向けた候補地を視察。水産資源の活用や観光関連施設の開発など、地域経済への投資を念頭に置いた活動だったとみられる。
サハリン州は、北方領土を含む島々への投資誘致を進めている。ロシア政府は2022年、クリール諸島を対象とする特別な税制優遇措置を導入し、企業の進出を促してきた。ロシア側にとって、外国資本の導入は地域経済の開発を進めるだけでなく、自国の行政・経済制度の下で島々の利用を拡大し、実効支配を一段と強固にすることにもつながり得る。
経済活動の先にある「既成事実化」
北方領土問題は、日露間で平和条約が締結されていない歴史的な懸案でもある。日本は領土問題の解決を平和条約締結に向けた重要課題としてきたが、ロシアによるウクライナ侵攻などを背景に、両国関係は厳しい状況に置かれている。
こうしたなかで第三国がロシア側の制度に基づいて島に入り、事業の可能性を探ることは、日本にとって外交上看過しにくい動きとなる。経済活動そのものが直ちに領有権を決定するわけではないものの、投資や施設整備、継続的な企業活動が積み重なれば、ロシアによる管理を前提とした経済的な結び付きが形成され、実効支配の定着を後押しする可能性がある。
このため、今回の訪問は、現地の経済開発をめぐる動きであると同時に、領土問題と経済活動が交差する事例として捉える必要がありそうだ。
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