不正を告発した途端、警察が友人の自宅を訪れ、自分の会社にまで調査の手が伸びた。中国で、元記者が当局から相次ぐ嫌がらせや報復を受けていると訴えている。
中国貴州省の元記者、付松氏は今年5月、国家が管理する巨大望遠鏡「中国天眼」を調査した。この施設では、観測の妨げになるため、携帯電話の持ち込みが厳しく制限されている。
ところが、付氏は約6万円の高級ホテルに宿泊すると、携帯電話を持ったまま立ち入り制限区域に入れたという。
付氏は、ホテルの運営に施設を管理する国家天文台が関わっていると指摘し、6月23日に実名で不正を告発した。
しかし、その直後から、付氏の周囲で不穏な出来事が相次いだ。
6月30日の夜、警察が現地調査に同行した友人の自宅を訪れ、告発について問いただした。
友人は「相手の痛いところを突いたから、反撃が始まったんだ。貴州に戻ったら駅で逮捕されるかもしれない」と付氏に警告した。
その後、付氏本人にも地元の責任者から電話が入り、共産党の政法委員会が調査すると告げられた。さらに、経営する会社や酒造工場に苦情や告発が寄せられたとして、行政機関から立ち入り検査の連絡まで入ったという。
警察は友人の自宅へ、当局は本人へ、そして行政機関は経営する会社へ。 告発を境に、付氏の身の回りに次々と調査の手が伸びた。
一方、問題のホテルは営業を続けているという。付氏は、こうした一連の動きを告発への報復と受け止めている。
付氏は「実名で告発した代償が、なぜこれほど大きいのか。実名で告発することの何が悪いというのか」と訴えている。
不正を正そうと声を上げた結果、自分だけでなく友人や仕事にまで影響が及ぶ。告発した人が、今度は自分の身を案じなければならない。
そんな社会で、誰が安心して不正を告発できるのだろうか。
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