中国株式市場の時価総額が、5月のピークから約5か月で2.4兆ドル(約376兆円)減少した。韓国の年間名目GDP予測を上回る規模で、10月22日には弱気相場に入った。AIの新モデル発表も株価の支えにならず、消費低迷や不動産不況、企業の収益力の弱さが重荷となっている。
中国株の時価総額376兆円減、韓国の年間GDPを上回る規模
国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し」2026年版によると、韓国の今年の名目GDPは2.25兆ドル(約353兆円)、カナダは2.49兆ドル(約390兆円)と予測されている。
中国株の下落で失われた時価総額は2.4兆ドル(約376兆円)である。金額で比べると、韓国の年間名目GDPを上回り、カナダに迫る規模となる。
台湾・韓国株と明暗 中国のAI企業は新モデル発表後も株価低迷
中国企業はAI開発で成果を上げるとしているが、株価の上昇にはつながっていない。中国の代表的な株価指数、CSI300(滬深300指数)は年初から11%下落した。一方、同じ期間に台湾株は59%、韓国株は31%上昇した。
今年1月に上場したAI企業のMiniMax(稀宇科技)と智譜(Zhipu)も、上場時には大きな期待を集めたが、その後、株価は急落した。22日の取引終了時点で、両社の時価総額はピーク時から合わせて約1500億ドル(約23兆5千億円)減少した。
新モデルの発表後も、株価は上向かなかった。MiniMaxは10月19日、費用を抑えながら性能を高めた「M3.1 Flash」を発表したが、株価の上昇にはつながらなかった。智譜が9月に発表した「GLM-5.3-FlashX」も、市場の評価は低調だった。
中国株下落の背景に消費低迷と不動産不況
アジア・タイムズは、株価下落の背景に次の要因があるとしている。
消費の長期低迷
不動産市場の低迷と6年連続の不動産価格下落
若者の失業率の高止まり
物価が下がり続けるデフレへの懸念
世界的なAI投資熱の冷え込み
中国株は今回の急落前から下落傾向にあった。主要な株価指数は8月以降、15%を超える下落となった。ハイテク企業が多く上場する科創板の関連指数は、年初から40%を超えて下落している。
景気刺激策と企業収益が焦点 株安は2027年初めまで続く可能性
カナダのRBCウェルス・マネジメントで投資戦略を担当するニコラス・グウィー氏は、レポートで株安の原因を2つ挙げた。中国共産党政権の財政刺激策が不十分なことと、企業の利益が市場の期待を下回ったことである。
同氏によると、これまでの株価はAIへの期待と政府の支援に支えられてきた。しかし、大規模な景気刺激策が打ち出されなければ、さらに下落するおそれがあるという。不安定な値動きは2027年初めまで続く可能性があるとしている。
モルガン・スタンレーの中国担当チーフエコノミスト、邢自強氏は「中国企業が抱える根本的な問題は、依然として収益力である。自己資本利益率(ROE)などの指標はなお弱い」と述べた。
邢氏は、企業の稼ぐ力の弱さが株価低迷の一因だとする一方、状況は徐々に改善する可能性もあるとの見方を示した。
EV値下げ競争が電池大手CATLにも波及
電気自動車(EV)をはじめ、各業界で続く激しい競争も、企業の利益や投資家の収益を圧迫している。
車載電池最大手の寧徳時代(CATL)の株価は今週、大きく下落した。利益が市場予想に届かなかったことに加え、値下げ競争に苦しむEVメーカーが、より安い電池に切り替えるとの懸念が広がったためである。
邢氏は、株価を押し下げる最大の要因は国内需要の弱さだと分析する。
中国企業は売り上げの多くを国内需要に頼っている。消費者がより安い商品を選ぶようになり、企業は希望する価格で販売することが難しくなっている。その結果、利益の見通しも厳しくなっているという。
アリババ・テンセントも3割超下落 内需低迷が重荷
AIブームの恩恵を直接受けると期待されていたアリババとテンセントも、株価は年初からそれぞれ30%を超えて下落した。
両社の主力事業は、中国国内の消費や企業活動に大きく依存している。このため、内需低迷の影響を避けられなかった。
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