中国各地で、昔ながらの街並みを再現した観光地「人工古鎮」の経営難が伝えられている。巨額を投じて整備された施設で客足が遠のき、店舗の閉鎖も相次ぐ。背景には、観光施設の運営よりも周辺の不動産開発を重視する事業の進め方や、街並み・店舗の画一化があると指摘している。
中国各地で、歴史ある街並みを模して造られた観光地「人工古鎮」の経営が悪化している。今年に入り、観光客の減少や店舗の閉鎖が各地で伝えられている。過去8年間の投資総額は、500億元(約1兆1816億円)を超えるとのデータもある。
最近、中国のSNSには、こうした人工古鎮を撮影した動画投稿が相次いでいる。巨額を投じて整備したものの、観光客はまばらで、街全体が閑散としている。多くの店舗で客の姿が見られない様子も映っている。
「観光客より警備員の方が多い古鎮も珍しくない」と皮肉る投稿者もいる。別の動画には、「500億元をつぎ込んだ末に残ったのはゴーストタウン。この現実はあまりにも痛ましい」との言葉が添えられていた。

開発は2800か所以上 存続は300か所未満との報道も
百度(バイドゥ)の検索急上昇欄で取り上げられた情報によると、中国の人工古鎮への投資総額は、過去8年間で500億元を超えた。
中国古城・文化研究院などの文化・観光関連の統計によると、中国全土で開発済み、または開発中の古城や古鎮など、歴史的な街並みを模した観光地は2800か所以上に上る。
このうち、烏鎮や古北水鎮のように、観光客を集めて安定した収益を得る仕組みができている施設は、全体の5~10%程度にとどまる。収支がほぼ釣り合っているか、小幅な赤字にとどまる施設は40~45%程度である。
一方、大幅な赤字を抱え、ゴーストタウンとなったり、破産や再建の手続きに入ったりした施設は45~50%程度を占める。張家界の大庸古城や、貴州省独山県の水司楼などが例に挙げられている。
また、『経済日報』の2025年7月29日付の報道によると、中国全土でこれまでに建設された2800か所以上の人工観光施設のうち、現在も存続しているのは300か所に満たないという。

観光より不動産開発 土地取得と短期回収を重視
百度の検索急上昇欄で取り上げられた情報では、経営不振の原因として、不動産開発を重視し、開業後の運営を軽視する事業の進め方を挙げている。
河南広播電視台が運営するニュースサービス「大象新聞」は、業界関係者の話として、初期の人工古鎮の多くは、もともと観光事業で利益を上げることを目的にしていなかったと伝えた。
業界には「文旅勾地」という言葉がある。文化・観光事業を掲げることで、地方政府から土地取得の優遇措置や政策支援を引き出す手法を指すという。
業界関係者によると、古鎮は事業を売り込むための見せ場にすぎない。実際に利益を生むのは、周辺に建設する住宅や商業施設などである。古鎮の開発を売り文句に周辺の土地の価値を高め、不動産を売却して投資資金を回収する。多くの事業が、こうした方法で短期間の資金回収を図ってきた。
また、百度では、影響力のある投稿者から、人工古鎮は建物も入居する店舗も似ており、独自性に欠けるとの指摘が相次いでいる。「一つ見れば、百か所見たのと同じ」というわけである。
地域ならではの特色や、人々の暮らしを感じられる場所も少ない。昔風の建物をコンクリートで再現しただけでは、今の旅行者を引きつけることが難しくなっている。
張家界・大庸古城は4年間で赤字10億元超
張家界の大庸古城には、建設費として24億元(約567億円)が投じられた。敷地の広さは、標準的なサッカー場約22面分に相当する。建物には、明・清代の建築様式と、少数民族トゥチャ族の意匠が取り入れられている。計画当初は、全国の文化・観光開発の手本となる施設を目指していた。
しかし、2021年6月のプレオープン以来、赤字が続いている。2021年から2024年までの4年間の累積赤字は10億8千万元(約255億円)に達した。営業黒字となっているのは、駐車場事業だけだという。
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