台湾で8年間暮らす中国出身の女性が、故郷の河南省で中国の戸籍を抹消する手続きをした際、窓口で冷淡な対応を受けたとして、動画で不満を訴えた。必要書類の案内が不十分だったうえ、職員の対応にも問題があったという。女性は「特別扱いを求めているのではない。最低限の礼儀と、分かりやすい案内がほしい」と、改善を求めた。
中国の戸籍抹消 事前の問い合わせでも必要書類分からず
動画を公開したのは、台湾での暮らしを発信する「新住民花花の台灣Life」の運営者、花花さんである。台湾の身分証とパスポートを取得した後、中国の戸籍を抹消するために帰郷し、河南省鄭州市の公安局の出入境管理部門を訪れたという。
花花さんは、書類が足りずに手続きが滞ることのないよう、事前に何度も電話で問い合わせた。しかし、電話はなかなかつながらず、ようやくつながっても、用件を伝え終える前に切られたという。当初は「毎日、多くの問い合わせに対応して疲れているのかもしれない」と、職員にも事情があるのだろうと考えていた。
ところが窓口を訪れると、さらに戸惑った。案内と整理券の配布が同じ場所で行われ人が集中していた。割り込みがあっても、職員は順番を守るよう積極的に呼びかけなかったという。花花さんは「大きな声を出した人が整理券をもらえるような状態だった」と振り返った。
書類の追加提出で複数の窓口を往復
手続きに必要な書類を尋ねても、十分な説明はなかったという。長時間待ってようやく順番が来ると、中国の身分証のコピーが足りず、個人情報を記入する用紙も必要だと告げられた。
花花さんは、混雑する案内窓口に戻って用紙を受け取り、身分証をコピーした。その後も複数の窓口を行き来して書類を追加で提出し、ようやく戸籍抹消の通知書を受け取ったという。
花花さんは、手続きごとに必要書類の一覧があれば、利用者は事前に準備でき、職員も同じ説明を繰り返さずに済むと指摘した。案内の不備や窓口の混乱が利用者と職員の双方の負担を増やしていると訴えた。
台湾のパスポートを「投げ返された」と訴え
手続きの煩雑さ以上に不快だったのが、台湾のパスポートの扱いである。
花花さんによると、中国の身分証と戸籍簿、台湾の身分証、中国と台湾のパスポートを窓口の警察官に渡したところ、台湾のパスポートだけを乱暴に投げ返されたという。
花花さんは、この手続きに台湾のパスポートが必要ないことは理解していたとしたうえで、次のように語った。
「見ないのであれば、しまうように言ってくれれば済む。あんなに乱暴に投げ返す必要はない。手渡されたのではなく、ぱっと投げ返された」
その後は、花花さんも笑顔で接したり、丁寧に声をかけたりするのをやめ、求められた書類を無言で渡すようになったという。手続きが終わって礼を言っても、職員から返事はなかったと述べた。
台湾の行政窓口との違い「特別扱いではない」
花花さんによると、台湾で利用した行政機関では、公式サイトに必要書類や手順が掲載され、窓口でも案内を受けられた。丁寧に尋ねれば職員も丁寧に応じることが多く、台湾で長く暮らすうちに、そうした対応が当たり前になっていたという。
一方、中国での今回の手続きでは、質問を重ねると職員の機嫌を損ねるのではないかと気を使ったと語った。利用者を「神様」のように扱ってほしいのではなく、互いに礼儀正しく接してほしいと訴えた。
動画には、同じような経験をしたというコメントが寄せられた。質問するだけでも気を使うという声や、職員同士では熱心に話しているのに、問い合わせるとそっけない対応をされたという投稿もあった。一方、「台湾で甘やかされたからだ」とする反応もあったという。
高層ビルだけでは測れない暮らしやすさ
花花さんは、中国をおとしめるために動画を公開したのではなく、自分が経験した問題を伝え、改善につなげたいと説明した。行政機関が住民のために働くのであれば、住民が不満を述べることも認められるべきだと訴えた。
また、経済発展や都市の近代化だけでは、暮らしやすさは測れないと指摘した。高層ビルや新しい設備が整っていても、日常の手続きで冷淡な対応を受けたり、窓口が混乱したり、書類の追加提出を何度も求められたりすれば、住民の負担は軽くならないという。花花さんは、「利用者を尊重した対応」と、分かりやすく無駄の少ない手続きを求めた。
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