中国・北京市で高齢化が加速している。北京市の公式資料によると、2025年末時点で60歳以上の常住人口は528万8000人に上り、全体の24.3%を占めた。2035年には33%を超え、住民の3人に1人以上が高齢者になると予測されている。
北京の人口動態の変化は、中国全体が直面する人口減少と経済への圧力を映し出している。中国では2022年から人口減少が続き、労働力人口が縮小する一方、退職者は増え続けている。国際通貨基金(IMF)の研究によると、高齢化は経済成長を押し下げるだけでなく、年金支出の増加にもつながる。都市部と農村部の社会保障格差も大きな課題となっている。
労働力人口の縮小 中国経済に重圧
ロイター通信は10月19日、北京市の機関紙「北京日報」の記事を引用し、こうした予測を報じた。関連データは、2026年の「四季青フォーラム」で公表された。
フォーラムによると、超大都市の北京では高齢化が急速に進んでいる。2025年末時点の60歳以上の常住人口は528万8000人で、常住人口全体の24.3%を占めた。2035年には高齢化がさらに進み、高齢者の割合が33%を超える見通しだ。
IMFが今年2月に公表したワーキングペーパー「中国の人口高齢化と年金改革」によると、中国の20~59歳の人口は、2024年の約8億4000万人から2050年には6億1400万人に減少する見通しだ。減少数は約2億2600万人に達し、26%を超える。労働力の縮小は、資本蓄積にも悪影響を及ぼすとみられる。
同研究のモデル試算では、2024年に導入された定年年齢の引き上げ改革を考慮しない場合、人口高齢化によって中国の年間実質国内総生産(GDP)成長率は、2024年から2050年にかけて約2%押し下げられると推計している。
年金支出が膨張 都市・農村で大きな格差
退職者の増加に伴い、年金財政への圧力も強まっている。
IMFの同研究は、定年年齢の引き上げ改革を考慮しない場合、中国の年金支出の対GDP比は、2024年の5.4%から2050年には15.3%に上昇すると推計した。一方、2024年の改革を織り込んだ場合でも、2050年には11.9%に達する可能性がある。
支出の増加に加え、給付の格差も問題となっている。
研究によると、都市部の企業従業員向け年金制度の受給者が受け取る平均給付額は、1人当たりGDPの40%を超える。一方、都市・農村住民向け年金制度の受給者の平均給付額は約3%にとどまり、両者には10倍を超える開きがある。
IMFは、都市・農村住民向け年金制度のうち、保険料の拠出を伴わない基礎年金の給付水準が平均賃金の2%にすぎず、国際的にみても低い水準にあると指摘する。幅広い層を対象としているものの、給付額が少ないため、退職後の安定した消費生活を維持するうえで制約となっている。
同研究によると、2023年には中国で約10億7000万人が公的年金制度に加入していた。しかし、就労年齢人口のうち、賃金に連動する年金制度に実質的に加入している割合は約44%にとどまった。
また、同年の政府による年金補助金の約78%は、都市部の企業従業員向け年金制度に振り向けられた。IMFは、こうした補助金の配分が逆進的な影響をもたらし、中・高所得層に相対的に有利に働く可能性があると指摘している。
社会保障の不備 家計の貯蓄志向強める
年金などの社会保障が不十分なことは、中国の個人消費が伸び悩む要因の一つでもある。
IMFアジア太平洋局のクリシュナ・スリニバサン局長は先月、香港紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」のインタビューで、中国は年金や医療保障を拡充し、家計が将来のリスクに備えて過剰な貯蓄をしなくても済むようにする必要があると述べた。
「中国は社会保障制度を改善するため、財政支出を大幅に増やさなければならない。それによって家計の予備的貯蓄が減り、消費が押し上げられる」と語った。
スリニバサン氏は、輸出と投資に依存して経済成長を実現してきた中国経済のモデルは「すでに限界に達している」と指摘。長期化する不動産市場の低迷も、家計の資産価値を損ない、消費への自信を弱めているという。
そのうえで、「最大の障害は、信頼感の喪失だ」と述べた。
また、農村戸籍を持ちながら都市部で働く出稼ぎ労働者の多くは、医療などの公的サービスについて、現地の戸籍を持つ住民と同等の恩恵を受けられない。このため、将来の医療費などの支出に備え、より多くの貯蓄を維持せざるを得ない状況にある。
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