新疆綿について「ノーコメント」 柳井社長発言に批判の声

2021/04/11
更新: 2021/04/11

8日、ユニクロやGUを運営するファーストリテイリングの柳井正・会長兼社長は決算発表の記者会見で、強制労働の疑いがもたれている新疆ウイグル自治区産の綿花を使用しているかとの記者質問に対し、「ノーコメントだ」と回答した。中国共産党政権による弾圧政策が大きく取り上げられるようになってからは、アパレル大手、スポーツ用品大手各社が新疆綿の使用停止を発表するなど、姿勢を明らかにした。なお、20年9月~21年2月期の同社の連結業績は日本国内事業および中華圏(グレーターチャイナ)事業の増益により5.4%増の1058億円となった。

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国内で人権問題への関心の高まりもあり、会見では新疆綿に関する質問が複数回飛び出した。柳井氏は使用について明言を避け、「全ての工場、全ての綿花を監視している。問題があれば取引は停止している。これは人権問題というよりも政治問題であり、われわれは常に政治的に中立だ。政治問題にはノーコメント」と発言した。

人権に無関心ともとれる発言に対し、ネット上では厳しい意見が数多く見られた。

作家でジャーナリストの門田隆将氏は自身のツイッターで「孫正義、三木谷浩史、柳井正の3氏に共通するのは、重要なのは利益で人権には関わらない事」「これが“人権でなく政治問題”とは中国の見解通り。どうぞ人権を無視して儲けて下さい」と批判した。

 

また、イスラム思想研究家の飯山陽氏はツイッターで「ユニクロ柳井氏が『政治的に中立な立場でやっていきたい』と主張しているのは、中立は善だと認識しているからであろうが、中立は必ずしも善ではない。経済的利益のためにジェノサイドという人道的罪を犯す国に対し口をつぐむことを、少なくとも私は善だとはみなさない」と投稿した。

 

オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)は2020年3月、ナイキ、アディダス、アップル、サムスンなど多国籍企業83社が中国共産党政権のウイグル人弾圧に加担している疑いがあると指摘。そのうち11社は日本企業で、日立製作所、ジャパンディスプレイ、三菱電機、ミツミ電機、任天堂、パナソニック、ソニー、TDK、東芝、ユニクロ、シャープがリストに載った。

(王文亮)

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