香港警察、被弾の高校生を起訴 当局が「凶器」すり替えたか

2019/10/05
更新: 2019/10/05

香港当局は3日、警官の実弾発砲で一時重体となった男子高校生(18)を、「暴動罪」と「警官襲撃の罪」の容疑で起訴した。警察は、男子生徒が当時「金属製の棒」で警官を殴打しようとしたため、実弾発砲が問題ないと主張。しかし、香港メディアが撮影した当日の現場映像は、警察が物証をすり替えた場面を捉えた。

香港警務処の鄧炳強・副処長は2日の記者会見で、生徒が当時「鉄管(金属製の棒)を持っていて、警官を襲撃しようとした」とし、「命の危険を感じた」警官が、「暴徒に発砲した」ことが「合法合理だ」と強調した。鄧氏はまた、当時一部の抗議者は「先端の尖っている棒で警官を刺そうとした」と指摘した。

香港メディア「立場新聞」は、1日に行った抗議活動のライブ放送の映像を調べた。生徒が警官に銃で撃たれて地面に倒れ込んだ後、私服警官が現場で物証を集めていたことが分かった。この私服警官が治安部隊の警官から、撃たれた生徒の所有物とみられるヘルメットと防毒マスクを回収した。倒れている生徒の横に、1メートル足らずの白いプラスチック製の管が落ちていた。

さらに、映像では、生徒に応急措置を施した警官がこの白いプラスチック製の管を私服警官に物証として提出しようとした時、もう一人の警官に呼び止められた様子も映った。別の私服警官が後方から、2メートルに近い、先端の尖っている黒い金属製の棒を持って、治安部隊の警官2人がいる方向に歩いていた。警官らは、生徒が持っていた防護用の板などを没収したが、白いプラスチック製の管をそのまま残した。

米ラジオ・フリー・アジア(RFA)3日付によると、香港警察は9月30日突如、警官の拳銃使用規制を緩和した。現在の拳銃使用に関するマニュアルは、「致命的な武力攻撃」に遭遇した際、警官は拳銃を使用できると規定している。

警察は今回、「致命的な武力攻撃」に関する定義を、今までの「殴打行為で意図的に他人に死亡、又は身体的な重症をもたらす場合」から、「殴打行為で他人に死亡、又は身体的な重症をもたらす、又はもたらす恐れがある場合」に変更した。また、警官が使う警棒について、「中レベルの武器」から「低殺傷力の武器」に変えた。

立法会(議会)の林卓廷議員は、警察がマニュアルを修正したことで、今後抗議者への実力行使が一段と強まると懸念を示した。

香港警察の発表では、1日の抗議活動で、当局が12歳から71歳までの269人を逮捕した。1400発の催涙弾、190発のビーンバッグ弾、230発のスポンジ弾と6発の実弾が使用されたという。

(翻訳編集・張哲)

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