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高市首相 「欧州重要原材料センター」創設歓迎 日本のJOGMECがモデルに

2025/12/09
更新: 2025/12/09

高市早苗首相は12月8日、自身のXアカウントで、欧州委員会が2025年初めに設立を予定する「欧州重要原材料センター」について、日本のJOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)をモデルとして採用したとの発表を歓迎する投稿を行った。首相は、欧州委が日本の取り組みを高く評価した背景に、2024年に公表されたドラギ・レポートがあったと説明。日本の重要鉱物確保への政策が国際的に注目を集めてきたことを強調した。

欧州委員会は2024年に公表されたドラギ・レポートを踏まえ、重要鉱物の備蓄や調達多角化に成功した日本の政策に注目してきた。ドラギ・レポート(The Draghi Report)は、欧州中央銀行(ECB)元総裁のマリオ・ドラギ氏が、欧州委員会の要請を受けて2024年にまとめた報告書「The Future of European Competitiveness(欧州の競争力の未来)」の通称。EU経済が急速な技術革新、地政学リスク、サプライチェーンの分断などに直面する中、「欧州が今後も競争力を維持・強化するための包括的戦略」を提示することを目的とした提言書で、資源戦略の分野で日本の枠組みをモデルケースとして高く評価していた。

欧州がJOGMECをモデルにする理由

欧州委員会が新センターを立ち上げる背景には、レアアースや重要鉱物の供給リスクの高まりがある。特に電気自動車、デジタル機器、再生可能エネルギーなどの産業では、レアアースやリチウム、ニッケルなどの安定的調達が不可欠だ。一方、特定国への過度な依存が続く欧州では、サプライチェーンの脆弱性が顕著になっており、資源外交・国際連携に強みを持つJOGMECの活動が参考にされたとみられる。

JOGMECは海外鉱山への投融資、リスクマネー供給、備蓄事業などを通じて資源確保を支援してきた。日本は2000年代後半以降、レアアースの輸入制約を経験した教訓から調達先の多角化を進め、これが国際的なモデルケースとされている。

日本側の対応:予算措置と対話強化

高市首相は投稿の中で「現在国会審議中の補正予算や令和8年度予算で必要額を確保し、JOGMECの取り組みを後押しする」と明言。政府として資源確保に向けた公的支援を一段と強化する姿勢を明らかにした。

また、世界的な供給網強靭化に向け、欧州を含む「同志国」との対話を加速する方針にも言及。国内産業界に対しても、価格の安さだけを基準とした原材料調達から、安定性を重視する調達戦略への転換を促す考えを示した。

日本政府は、資源安全保障を「経済安全保障の中核」と位置づけており、JOGMECの機能強化や国際パートナーシップの拡大を通じて、供給網の安定性を高められるかが今後の鍵となる。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。