イーロン・マスク氏が闇市場のスターリンク端末を停止、ロシア軍が衛星通信喪失で前線攻勢大幅後退。クピャンスクなどで指揮崩壊、紙地図頼みに。ウクライナ国防省顧問がテレグラム(Telegram)で報告。
ウクライナ国防省の技術顧問セルヒー・ベスクレストノフ(Serhiy Beskrestnov)氏は2月5日、イーロン・マスク氏が闇市場で購入された「スターリンク」(Starlink)端末を停止する措置を取った結果、衛星通信を失ったロシア軍が複数の前線で攻撃を中断していると明らかにした。
ベスクレストノフ氏はSNSプラットフォーム「テレグラム」上で、「前線の敵は災難に直面している。すべての部隊指揮・統制システムが破壊された。多くの地域で攻撃行動がすでに停止している」と述べた。また、「問題は、未登録のスターリンク端末を使用していたロシア軍にのみ発生している」と補足した。
ロシア軍の惨状 通信失い紙の地図と伝令に逆戻り
ロシアの軍事プロパガンダ筋および親クレムリン派メディアの報道も、ロシア軍におけるスターリンク・ネットワークの中断を確認しており、特にクピャンスク(Kupyansk)地域では部隊が衛星通信を失い、代替システムが存在しないことを指摘している。
ロシア側の消息筋によると、一部の部隊は再び紙の地図を使用し、情報を伝えるためにデータを保存した記録媒体を携えた伝令を部隊間で行き来させざるを得ない状況にあるという。
今回ロシア軍で発生した衛星ネットワークの中断は、「スペースX(SpaceX)」の最高経営責任者(CEO)イーロン・マスク氏が未登録のスターリンク端末を無効化する決定を下したことに起因している。
ロシアドローンがStarlink悪用 ウクライナがSpaceXと協力
1月下旬、ベスクレストノフ氏はロシア軍がウクライナの標的を攻撃する自爆型無人機(ドローン)にスターリンク衛星ネットワークの受信機を利用していることを発見した。1月29日には、ウクライナのデジタル変革担当副首相兼国防省長官ミハイロ・フェドロフ(Mykhailo Fedorov)氏が、「同省はスペースX(SpaceX)社と協力し、ロシアのドローンがスターリンク・ネットワークを使用するのを防ぐ取り組みを進めている」と明らかにした。
マスク氏は2月1日、ロシアの無人機によるスターリンク利用を阻止する措置が「すでに成功した」と述べた。スターリンクの技術者チームは48時間以内にソフトウェアとハードウェアの更新を実施し、ウクライナ国内で稼働している闇市場および非正規経路で購入したすべてのスターリンク端末を遮断した。ウクライナ国内におけるスターリンク端末の認証手続きは2月2日に開始され、登録済みの機器のみが稼働可能となった。
ウクライナ通信社(UNIAN)は2月5日、消息筋の情報として、ロシアの攻勢が一部地域で鈍化または停止していると報じた。同報道は「実際、影響を受けたロシア部隊の指揮・統制は崩壊した」と伝えている。
ウクライナ軍総司令部(AFU)も5日の戦況報告で、前線全体の戦闘強度が低下していることを確認した。
スターリンクの衛星通信はロシア・ウクライナ双方の軍で広く使用されており、特に電力網や民間通信が機能しない前線地域では不可欠な存在となっている。前線では、部隊指揮官が地図を更新し、部隊を追跡し、敵情を把握するための唯一の手段がスターリンクである場合も多い。
スターリンク社はロシア国内でのサービス提供を禁止しているものの、クレムリンは闇市場や第三国経由の購入などを通じてこの制限を回避してきた。
今回実施されたスターリンク端末の認証措置は、非正規市場の端末を使用していた一部のウクライナ軍にも影響を及ぼしており、特に国家警備隊および領土防衛部隊がその対象となっている。
ベスクレストノフ氏は5日、「国防省は影響を受けた部隊の端末登録を進めており、できるだけ早く衛星インターネット接続を回復させる」と述べたうえで、「これが、スターリンクを使用するロシアのドローン攻撃から国家を守る唯一の方法である」と説明した。
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