張又俠拘束前 北京衛戍区司令に異動 李克強殺害疑惑の人物を起用

2026/02/06
更新: 2026/02/06

中国共産党(中共)中央軍事委員会副主席張又俠の拘束に先立ち、北京では異例の動きが起きていた。中共官製メディアによると、約一年間空席となっていた北京衛戍(えいじゅ)区司令員の職に、元武警上海総隊司令員の陳源が就いていたことが明らかになった。北京衛戍区は首都防衛を担う要の部隊であり、今回の人事が習近平による張又俠と劉振立の拘束に向けた布石だったのではないかとの憶測が広がっている。

「北京日報」は、1月14日に開かれた北京衛戍区党委員会第十期第九回会議で、陳源が北京衛戍区の指導部メンバーとして出席したと報じた。具体的な職名には触れていないものの、慣例上、約一年にわたり空席だった司令員に補充就任したとみられる。

公開資料によると、53歳の陳源は江蘇省塩城出身で、元軍委副主席の何衛東と同郷にあたる。長年にわたり武警部隊で勤務し、北京衛戍区に異動する前は武警上海総隊司令員を務めていた。

台湾の国防安全研究院戦略と資源研究所の蘇紫雲所長は、「張又俠拘束が公表された1月24日の動きと照らし合わせると、この人事はより興味深いものだ」と指摘した。「地方から人を呼び寄せ、首都の防衛を司る『九門提督(首都防衛司令官)』のポストに据えたことは、習近平が以前から張又俠らを拘束する計画を立て、信頼できる人物を配置していたことを示している」との見方を示した。

同研究院の沈明室研究員は、「今回の北京衛戍区司令官の交代は、新司令官が李克強前首相の暗殺に関与したと噂されている人物である点に加え、何衛東の派閥に属している。張又俠や劉振立が粛清された後、習近平が今後、何衛東や苗華の部下を重点的に起用していくかもしれない」と述べた。

北京衛戍区は、首都の安全確保を担い、中南海など重要機関の警護を任務とする。司令員は歴代、軍委主席が直接指名し、最高指導部が強く信頼する人物が就いてきた。

前任の司令員は付文化で、張又俠の旧部にあたる。中共第19回党大会後、張又俠が軍委副主席に昇格すると、付文化は2020年4月に北京衛戍区司令員に就任したが、昨年3月上旬に異動となった。その後、司令員の職は異例にも約一年間空席が続いていた。

沈明室氏は、「張又俠が軍委副主席に就いて以降、武警や衛戍区では張又俠派閥の人事が続いていた。武警の代理司令だった曹均章も張又俠の派閥に属していたとされ、現在多くの上将ポストが空席となる中、習近平が張又俠と劉振立の拘束後のタイミングで張又俠が育成した人材を大幅に入れ替える可能性がある」と分析した。

張又俠が拘束される前には、もう一人の中共中央軍事委員会副主席だった何衛東が昨年10月に失脚している。最近では、何衛東が自殺したとの情報も流れており、軍委副主席という職が極めて危険な地位になっているとの見方も出ている。

中共が政権を掌握して以降、在任・退任を含め、少なくとも9人の軍委副主席を粛清してきた。毛沢東時代には劉少奇、彭徳懐、林彪、賀龍、鄧小平時代には趙紫陽、習近平の政権下では何衛東と張又俠のほか、徐才厚と郭伯雄が失脚している。

アメリカ在住の政治評論家、陳破空氏は、「共産党の体制そのものが人をすり潰す構造だ」と指摘する。「高官たちだけでなく、指導者でさえも極めて危険な立場にある。実際、中共の総書記を務めた者の多くが失脚し、最後には悲惨な結末を迎えている。つまり、彼らが作り上げたこの制度は、国民を迫害し、弾圧し、搾取し、人権を奪うことで人民に脅威を与えているだけでなく、最終的には彼ら自身さえも人権を奪い去るものなのだ」と述べた。