先週28日からの米国とイスラエルによるイラン政権に対する軍事攻撃は、世界経済、原油価格、労働市場に不確実性をもたらしている。各種分析によれば、この衝突は中国共産党(中共)政権に大きな打撃となり、もともと弱含みの中国経済をさらに悪化させる可能性がある。
イランが中東にある米国の基地やその他の資産に報復攻撃を行ったため、周辺地域の多くの国は予防措置として石油や天然ガスの生産を一時停止している。
世界有数の液化天然ガス輸出国であるカタールの国営エネルギー企業カタールエナジー(QatarEnergy)は、液化天然ガスの生産停止を発表した。
世界最大の原油輸出国であるサウジアラビアの石油大手サウジアラムコは、国内最大の製油所の操業を停止した。この製油所は通常、1日あたり約55万バレルの原油を処理している。
イラクとイスラエルでも主要な石油・天然ガス施設が操業を停止している。
今回の衝突は世界の海運業にも影響を及ぼした。ホルムズ海峡の航行はほぼ停止状態となっている。
原油価格は週明けの月曜日に13%急騰し、1バレル82ドルを超えた。これは2025年1月以来の高水準だ。
ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミストは2日に公表した報告書で、イランは世界の石油供給の約5%を担っており、イラン産原油が全面的に供給停止となれば原油価格は約20%上昇すると警告。また世界の石油供給の約20%はホルムズ海峡を通過して輸送されており、同海峡が閉鎖されれば原油価格は1バレル108ドルまで急騰する可能性があると指摘している。
同報告書は、原油価格の上昇が続けば中国、欧州、インドなど主要な石油輸入国が打撃を受ける一方、ロシア、カナダ、ノルウェーなどの石油輸出国は利益を得ると分析した。米国はシェールオイルの生産拡大によって石油輸出国となっているため、経済全体への影響は比較的小さいとみられる。
カナダの投資銀行TDセキュリティーズ(TD Securities)は、中国がイラン原油輸出の約99%を輸入していると推計している。この量は2025年の中国の海上輸送による原油輸入量の約13%に相当する。イラン産原油の供給が途絶えれば、中共政権は最大の打撃を受け、安価な原油の供給源を失う可能性がある。
海運コストも上昇している。中東情勢の緊迫化とタンカー不足の影響により、中東から中国への原油タンカーの臨時運賃は先週27日以降、2倍以上に上昇した。
船舶ブローカーによると、最大100万バレルの原油を積載できるスエズマックスタンカーの予約運賃は、世界タンカー運賃指数(Worldscale)の525ポイントに達した。これは実際の運賃が基準運賃の5倍以上であることを意味する。年初の段階では、実際の運賃は基準運賃の半分程度にとどまっていた。
ホルムズ海峡がほぼ閉鎖状態となれば、タンカーは迂回航路を取らざるを得ず、石油輸送コストはさらに上昇する可能性がある。
原油価格の上昇は、中国を含む一部の国でインフレ率を押し上げる可能性もある。中国は主要な石油輸入国であるため、原油価格、天然ガス価格、海運費の同時上昇に直面し、企業の負担がさらに増加する。結果として輸入インフレが発生する可能性がある。
中東情勢の衝撃が世界経済の減速や景気後退を招けば、欧米やアジア各国の需要も影響を受ける。中国にとっては輸出注文の減少を意味し、外需依存の企業は「コスト上昇と需要減退」という二重の圧力に直面する可能性がある。
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