日米 拒否的抑止力の強化を確認 拡大抑止協議で防衛体制の連携深化

2026/06/11
更新: 2026/06/11

6月8日から9日にかけて東京で開催された「日米拡大抑止協議」が開催された。駐日米国大使館は2026年6月11日、X(旧Twitter)で、米国が日本防衛への関与を改めて確認したと発信した。

「米国は、核を含むあらゆる防衛能力を用いて日本を防衛するというコミットメントを改めて確認しました。日本は、平和の維持に貢献する米軍の部隊および活動への支援を改めて表明し、その支援が拒否的抑止力の強化に寄与することを確認しました」

一見すると、これまでの日米共同声明でも使われてきたお決まりの外交フレーズの組み合わせに見えるが、「拒否的抑止(Deterrence by Denial)」という言葉がこの文脈で明確に押し出されている点が、これまでにない実質的な前進を意味するといえる。

これまでの日米の声明は、「核を含むあらゆる能力で守る(米国側)」という拡大抑止(安心供与)の確認に重きが置かれていた。

トランプ大統領が再選した直後、2024年11月に石破総理大臣とトランプ大統領の間で行われた日米首脳会談後、公式に「トランプ大統領は、米国による核を含むあらゆる能力を用いた、日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントを強調しました。両首脳は、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることを改めて確認しました(外務省)」と発表されている。

日本はアメリカに「本当に守ってくれますよね?」と念を押し、アメリカが「大丈夫だ」と答える構図だ。

しかし、今回の声明で日本側が「その支援が拒否的抑止力の強化に寄与することを確認した」と言及したことで、関係性が変わった。 

今、日本はアメリカの傘の下で守られる日本ではなく、日本側が在日米軍を強力に支え、共同で敵の侵略を『拒否』する体制を具体的に構築しており、日本側の能動的な役割と実戦的な備えを強調する段階へ一歩進んでいるといえる。

「拒否的抑止力」とは、安全保障上の抑止の一形態である。防衛省防衛研究所によると、抑止には、攻撃した場合に耐えがたい損害や報復を受けると相手に認識させる「懲罰的抑止」と、攻撃しても目的を達成できないと認識させる「拒否的抑止」がある。

「拒否的抑止力の強化」とは、日米の防衛体制を強固にし、相手国に「日本を攻撃しても成功しない」と認識させることで、攻撃を未然に抑え込む力を高める。

拒否的抑止力を支える具体策の一つが、指揮・統制の一元化と日米連携の強化である。

自衛隊は2025年3月24日、陸上・海上・航空自衛隊やサイバー防衛隊などを一元的に運用する「統合作戦司令部(JJOC)」を発足させた。これにより、平時から有事まで、各種事態に迅速かつ柔軟に対応する体制が整えられた。

5月29日、統合作戦司令官が、在日米軍横田基地を訪問し、地域の安全保障環境について協議し、在日米軍司令部の統合軍司令部への変革に関する説明を受けるなど日米間の作戦計画、情報共有、部隊運用の調整はより緊密になっている。

国産スタンド・オフ・ミサイル25式地対艦誘導弾(防衛省 陸上自衛隊のXアカウント)

また日本は遠方から相手の脅威に対処する「スタンド・オフ防衛能力」の整備を進めている。防衛省・自衛隊の防衛白書によると、トマホークの取得や国産スタンドオフ・ミサイルの開発などで米国との協力を進め、攻撃の脅威をより遠方から無力化する能力を高めている。

南西諸島における防衛体制の強化も重要な柱だ。地域的な緊張が高まる中、日本は南西諸島への部隊配備を通じた能力向上を図っている。これに加え、日米の共同演習や訓練、施設の共同使用の機会を増やし、南西諸島をはじめとする日本全国で日米の二国間プレゼンスを高めることで、相手国に強い抑止メッセージを発している。

現代の戦争では、陸・海・空だけでなく、宇宙、サイバー、電磁波といった新領域が複雑に関わる。日米は、低軌道衛星網を用いたミサイル探知・追尾の協力、防御的サイバー作戦、情報共有のためのネットワーク防御の強化など、領域横断的な作戦能力の向上を進めている。

これらの日本の防衛力強化と日米共同の作戦能力を支える基盤が、米国による「拡大抑止」である。ここでいう拡大抑止には、いわゆる「核の傘」を含む防衛上の約束が含まれる。駐日米国大使館の投稿で示された「核を含むあらゆる防衛能力を用いて日本を防衛する」という米国の関与と、日本による米軍の部隊・活動への支援は、日米同盟の抑止力を支える両輪となっている。

今回の投稿で示された「拒否的抑止力の強化」は、単なる理念ではない。統合作戦司令部の創設に伴う日米の指揮統制の連携強化、スタンド・オフ防衛能力の整備、南西諸島での防衛体制強化、サイバーや宇宙を含む新領域での作戦能力向上により、具体的な防衛体制として整備が進められている。

日米が一体となって切れ目なく対応できる体制を構築することは、相手に「攻撃しても成功しない」と認識させる拒否的抑止力の中核であり、地域の平和と安定を維持するうえで重要な要素となっている。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます