中国 消える報道、残された疑問

また中国EV炎上、また記事削除 事故後の対応に疑問広がる

2026/10/25
更新: 2026/10/25

中国で自動車事故が起きる。メーカーの説明に疑問が出る。批判的な記事や動画が消える。そして、真相がはっきりしないまま、また次の事故が起きる。

何度も繰り返されるこの展開に、まるでデジャビュを見ているような感覚を覚える。

今回もまた、同じようなことが起きている。

中国通信機器大手ファーウェイが技術面で関わる電気自動車(EV)「問界」で、2件の炎上事故が注目を集めている。

四川省では、購入からわずか1年余りの「問界M7」が走行中に突然炎上し、全焼した。持ち主によると、衝突事故などは起きていなかった。メーカー側が示したという原因は「車内の芳香剤の瓶が太陽光を集め、発火した」というものだった。

ガラスなどが太陽光を集めて火災を起こすことは実際にある。ただ、今回の出火原因が本当に瓶だったのか、車両側に問題はなかったのか。詳しい調査結果は確認できていない。ネット上では、メーカー側の説明に疑問を示す声が相次いだ。

一方、陝西省では10月17日、「問界M9」が信号機の柱に衝突して炎上し、運転手が死亡した。メーカー側は、制限速度50キロの道路を時速139.1キロで走行し、衝突後に配線のショートや油類の漏出によって出火したとの見方を示した。

しかし、事故映像を見たネットユーザーからは「映像ではそれほどのスピードが出ていたようには見えない」と、メーカー側の説明を疑問視する声が上がった。

中国メディア「澎湃新聞」は23日、事故時の速度や自動緊急ブレーキの作動状況、出火原因などを検証する記事を掲載したが、まもなく削除された。

さらに、中国の大手ネット企業「搜狐」が運営する自動車専門メディア「搜狐汽車」も、事故映像をSNSに投稿した後、動画が削除された。同メディアは20年以上の歴史を持ち、SNSのフォロワーは240万人以上。普段は1日20件以上投稿していたが、事故映像の削除後、更新が途絶えた。その後、アカウントが15日間の投稿禁止処分を受けたとの情報も伝えられた。

また、事故現場では、衝突した信号機の柱が囲いで覆われている様子も確認された。

記事の削除や現場の囲いについて、具体的な理由はわかっていない。ただ、こうした動きが重なったことで、ネット上では情報公開のあり方を疑問視する声が広がっている。

中国では長年、国産大手ブランドや当局にとって都合の悪い問題が起きるたび、批判的な記事や投稿が削除され、真相が見えないままになることが繰り返されてきた。こうした状況に、人々の怒りや不信感は募るばかりだ。

人々が知りたいのは、なぜ事故が起きたのか、本当に安全な車なのか、ということだ。

事故が起きたなら、原因を調べ、事実を公表する。メーカー側の説明が正しいのであれば、その根拠を丁寧に示せばいい。ところが、疑問が解消されないまま、批判や疑問を投げかける声が消され、事故現場まで覆われてしまう。これでは、かえって疑惑が深まるばかりだ。

事故が起きたこと以上に、その後どう向き合うか。繰り返される不可解な対応が、消費者の信頼を少しずつ失わせている。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!