中国 失業を家族に隠す人々の苦悩

お金を払って出勤 中国で広がる「出勤ごっこ」

2026/10/25
更新: 2026/10/22

仕事がないのに、毎朝出勤する。給料はもらえない。それどころか、会社に行くためにお金を払う。

冗談のような話だが、今の中国では、こんな奇妙な「出勤ごっこ」が話題になっている。

なぜ、そこまでするのか。

理由は単純で、そして切実だ。失業したことを家族に知られたくないからだ。

中国では、不動産不況や消費の低迷、企業の人員削減などで雇用環境が厳しさを増している。

仕事を失っても次の職がなかなか見つからず、家族に心配をかけたくない、失業した自分を知られたくないという思いから、毎朝いつも通り家を出る人たちがいる。

行き先は会社ではない。公園や図書館、カフェ、ショッピングモールだ。そこで一日を過ごし、夕方になると何事もなかったように帰宅する。

中国のSNSでは、こうした「出勤ごっこ」が大きな共感を集め、関連動画の再生回数は中国版TikTok「抖音」だけで6億回を超えたという。

さらに驚くのは、この苦しい現実が商売にまでなっていることだ。

浙江省杭州市では2025年、失業者らが1日30元(約600円)を払って利用する「偽の会社」が話題になった。

室内には机や会議室、プリンターがそろい、遅刻禁止、居眠り禁止、社内恋愛禁止といった規則まである。本物の会社と違うのは、仕事も給料もないことだ。

朝になれば家を出る。夕方になれば帰ってくる。家族には「今日も仕事だった」と言う。しかし、その一日を乗り切っても、明日の仕事が見つかったわけではない。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!