かつては服を作ったり、破れた布を繕ったりと、暮らしを支えてきたミシン。既製服があふれる今では、すっかり出番が減った。
ところが、そのミシンが今、中国で思わぬ人気を集めている。
しかも、目的は服作りや節約ではなく、なんと「ストレス解消」。若者から退職世代まで、ミシンに向かって心を癒やす人たちが増えているという。
中国では1970~80年代、ミシンは腕時計、自転車と並ぶ「結婚の三種の神器」だった。結婚生活を始める際にそろえたい、憧れの品でもあった。
そんなミシンが時代を経て、今度は心を癒やす道具として注目されている。
若者たちは人気キャラクター人形「LABUBU(ラブブ)」の服や小物を手作りし、退職世代は裁縫を新たな趣味として楽しんでいる。
中国のSNSでは「裁縫をすると気分が良くなる」という話題の閲覧数が累計4億6千万回に達し、関連する議論も約180万件に上った。
人気を後押ししているのが、ミシンの進化だ。自動糸通しや速度調節など、初心者にも扱いやすい機能が増え、布や糸をまとめた手作りキットも登場。誰でも気軽に始めやすくなった。
仕事や生活のストレスから少し離れ、目の前の布に集中する。一針ずつ縫い進めるうちに、気持ちが落ち着いていく。そんな時間に魅力を感じる人もいるようだ。
昔は暮らしを支えるために動かしたミシン。今は疲れた心を休ませるために動かす。
便利なものがあふれる時代に、あえて自分の手で何かを作る。その小さな達成感が、忙しい現代人にとって思いがけない癒やしになっているのかもしれない。
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