中国 がん告知で南極へ 帰国後に腫瘍が縮小

中国女性「死ぬ前に南極へ」13年後の今

2026/11/05
更新: 2026/11/04

「病は気から」という言葉がある。気持ちだけで病気が治るわけではないが、心と体の不思議なつながりを感じたことは、誰にでもあるのではないだろうか。

中国・雲南省に住む王英さん(67)の体験も、そんなことを考えさせる。

2013年、退職を目前に甲状腺がんと診断された王さん。手術が怖く、「もう死ぬのなら」と貯金を使い切って南極へ行くことを決めた。母親の援助も受け、約1カ月の旅に出た。

待っていたのは、厳しい寒さと揺れる船。それでも、大好きなカメラを手に、氷点下の世界で何時間もペンギンを待ち続けた。

そしてついに、親ペンギンがひなに餌を与える瞬間を撮影した。

「ほかの人はみんな帰ったけれど、私は粘った。撮れたときは本当にうれしかった」

その喜びは、病気への不安を忘れさせるほど大きかったのかもしれない。

そして帰国後、病院で思いがけない言葉を告げられる。

「腫瘍が小さくなっています」

すぐに手術する必要はなく、経過観察になったという。

なぜ腫瘍が小さくなったのか。旅行が影響したのか、それとも病気そのものの経過によるものなのか。詳しい医学的情報はなく、理由は分からない。

ただ、心と体が深くつながっていることは確かだ。

台湾でがん患者の診療にも携わる陳博聖医師は、健康を守るうえで、食生活だけでなく、十分な睡眠やストレスへの対処も大切だと説く。

心配事が続くと食欲がなくなり、緊張するとお腹が痛くなる。反対に、好きなことに夢中になると疲れを忘れる。そんな経験は誰にでもあるだろう。

もちろん、楽しく過ごせばがんが治るという話ではない。それでも、心を休ませ、生きる喜びを持つことは、病気と向き合う日々を支える力になる。

王さんは南極から帰国後、旅と写真撮影に情熱を注ぎ、30カ国以上を訪れた。67歳になった今も、カメラを担いで各地を飛び回っている。

「もう死ぬ」と思って出かけた南極。しかし、そこで彼女が見つけたのは、死への覚悟ではなく、生きる喜びだった。

腫瘍が小さくなった理由は分からない。けれど、彼女の人生が大きく変わった理由は、少し分かる気がする。

人は、夢中になれるものを見つけたとき、もう一度前を向く力を取り戻せるのかもしれない。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!