わずか2歳の娘のために、自らの手で墓を掘った父親がいた。
娘の命を救いたい。しかし、治療費は底をつき、借りられるお金もなくなった。娘を救うすべを失った父親に、最後まで残されていたのは、娘を思う愛情だった。
いつか別れの日が来ても、幼い娘が死を怖がらずにすむようにと、父親は自ら掘った墓穴で、何度も娘と一緒に遊んだ。
中国四川省内江市に暮らす張利勇さんの娘、張芯蕾ちゃんは、生後わずか2か月で、重度の遺伝性血液疾患「サラセミア」と診断された。正常な赤血球を十分につくれず、定期的な輸血なしでは命に関わる難病だった。
ガラス工場で働く父親の月収は約5万円。娘の治療費はすでに約280万円を超え、家族の貯金も、親戚や友人から借りられるお金も使い果たしていた。それでも病状は悪化し、父親は絶望の淵に追い詰められた。
やがて父親は、自宅の畑に小さな墓穴を掘った。そして何度も娘を抱いてその中に横たわり、一緒に遊んだ。
いつか本当に別れの日が来ても、娘が暗い土の中を怖がらないように、少しでも安心できるようにという、父親なりの精いっぱいの愛情だった。
娘を救えないかもしれない。それでも、せめて娘の恐怖だけは取り除いてやりたい。2017年、その切ない姿を映した動画がネット上で拡散された。
当初は父親の行動を疑問視する声もあったが、事情を知った多くの人々が支援に動き出した。
善意の寄付によって治療費が集まり、同年8月に生まれた妹のへその緒に含まれる血液を使った幹細胞移植が実現。芯蕾ちゃんは少しずつ回復し、やがて定期的な輸血も必要なくなった。
それから9年。かつて父親の腕の中で墓穴に横たわっていた少女は、11歳になった。2026年11月の報道によると、現在の健康状態は良好だという。
父親はその後、娘のために掘った墓穴を埋め、そこにひまわりを植えた。かつて死を覚悟した場所は、今では家族の希望を象徴する花園になっている。
絶望の中でも消えなかった父の愛と、見知らぬ人々が差し伸べた温かな手。その善意がつないだ小さな命は、今、ひまわりのように太陽の下ですくすくと育っている。
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