中国の大学で、副教授が自ら命を絶った。亡くなる前に残したとされる文書には、研究費や論文の実績作りをめぐる不正疑惑が記されていた。大学では一体、何が起きていたのか。
10月、中国・陝西省の省立総合大学、延安大学で、ピアノ教育を専門とする白保国副教授(54)が湖に身を投げ、亡くなった。その後、遺書とされる文書がネット上に広まり、注目を集めている。
文書によると、同大学では研究費の獲得額や論文の発表数が教員の重要な評価基準となっていた。目標達成のため、教員が自腹で用意した資金を架空の共同研究費として大学に振り込み、後から回収する不正や、金を払って論文の発表実績を作る行為が行われていたという。
白氏はこうした不正を拒んでいたが、評価基準を満たせず、降格などの可能性を通知された。文書によると、職務を続けるため、研究費の実績作りに約355万円、論文発表に約118万円、合計約470万円を自腹で負担するよう求められたという。
白氏は、ピアノ教師の本来の仕事は授業や演奏、学生の育成であり、架空の研究費や論文を作ることではないと訴えた。さらに、長期間出勤せずに給与を受け取りながら、勤務評価では合格している職員の存在も告発した。
11月4日、延安大学は白氏の死亡を認め、ネット上の文書の内容を調査中だと説明。陝西省教育当局も関連事項に対応しているという。
こうした問題は、延安大学だけに限らない可能性がある。中国の新聞『中国社会科学報』が全国の大学教員117人を対象に行ったアンケート調査では、約9割が周囲で同様の不正を認識しており、約18%が架空の共同研究に関与した経験があると回答している。
学生を育てる教師が、教育ではなく数字によって評価される。大学は本来、何を大切にすべきなのか。
白氏が遺したとされる告発は、その根本的な問いを投げかけている。

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