中国軍事演習、仮想敵国は日本

2005/10/07
更新: 2005/10/07

【大紀元日本10月7日】『毛沢東著作集』の第1巻第1篇は、「誰が我々の敵なのか、誰が我々の友なのか、この問題は革命の主要な問題である」という言葉で始まる。これは毛沢東思想の精髄でもあり、中国共産党は80数年前の創設以来、定期的に政治運動を引き起こし、「階級の敵」を立て、これらの敵のせん滅を政策として掲げてきた。

最近の中国の外交政策と軍事動向から判断する限り、現在の中国の「敵」は間違いなく日本である。これは、共産党の軍隊が9月27日から内モンゴルで行った略称「北剣-2005」の軍事演習から推察することができる。今回の演習には、24カ国の軍事オブザーバーと駐北京の武官が視察のため招待された。これらの国家は、オーストラリア、ブラジル、カナダ、北朝鮮、エジプト、フランス、ドイツ、ギリシア、インド、インドネシア、イスラエル、イタリア、カザフ、マレーシア、パキスタン、ルーマニア、ロシア、シンガポール、南アフリカ、スペイン、タイ、トルコ、イギリスとアメリカである。

中国が重要な隣国の日本と韓国、そしてモンゴルをその視察に招待しなかったという事実は、非常に微妙な問題である。24カ国を視察に招いた目的は、軍事の開放を表明し、相互理解、相互信頼、友好協力を増進することであるとされている。言い換えれば、招かれてない国が中国の軍事上の標的であるか、または少なくとも中国との間にトラブルがあり、信頼できない国と見なされていることを意味している。

北京が韓国を招かなかったのは、朝鮮戦争において中韓が敵対関係にあったからではなく、「血と肉の繋がり」がある北朝鮮を招待しており、北朝鮮が不快感を持たぬよう配慮したためである。現段階においては、北京は韓国を敵と見なしてはいないはずである。なぜならば、中国は「夷を持って夷を制する」(夷は中国の東側の隣国を指している)という「反日統一戦線」を構築したいからである。もちろん、もし北朝鮮と韓国の間で武力衝突が発生した場合、北京は当然ながら韓国を敵と見なすに違いない。

モンゴルを招かなかったのは、演習が内モンゴル自治区で行われている点から見て、演習が「モンゴル族の独立運動」を牽制する意味合いを持っており、この点については、モンゴル人民共和国が必然的に「モンゴル族の独立運動」を支持すると考えられ、軍事機密をモンゴル人民共和国に開示することは好ましくないと言う理由によるものである。

日本が招待国の名簿から外されたことは、最も微妙な問題である。現在、中日関係は緊張している。日本は「中国威脅論」を実感しており、特に軍事の脅威を警戒している。もし、中国が日本を友好国家と見なしているなら、または少なくとも緊張関係を改善したいと考えているならば、日本を招待し、これにより相互に信頼すべきであることを示し、「中国威脅論」を打ち消すはずである。しかし、北京はこのような姿勢さえ見せなかった。これは、明らかに日本に対する敵意を示しており、故意の挑発と言っても過言ではない。

最近、中国と韓国、モンゴルとの間で明らかなトラブルはいが、日本との間に多くの問題が起きている。主たる問題として以下のものが挙げられる。

第一は、今年の4月に中国で数回発生した政府主導とも言える反日デモである。民間の集会とデモが禁じられている中国では、こうしたデモは通常の現象ではない。その後、当局はデモの鎮圧に乗り出したが、これはデモが持つ反日の性質を否定したわけではなく、制御不能になる可能性を懸念したためである。

第二は、5月下旬、日本を訪問していた中国副首相の呉儀が、外交のマナーを無視し、日本と協議することなく、小泉首相との会談をドタキャンした騒ぎである。これは、挑発的な行為としか言えない。

第三は、8月の中ロによる合同軍事演習である。この軍事演習に対して、中国の同盟国の北朝鮮を除いて、最も演習地区に近くて軍事の脅威を感じているのは、やはり韓国と日本である。9月の衆議院解散選挙投票日の直前に、中国の軍艦5隻が、問題の東シナ海海底ガス田地帯の海上を巡航した。中国は、その直後、海上の総合軍事作戦能力を高めるために、東シナ海における海上予備隊として一団の艦船の配備を宣言した。これも明らかに日本に向けられた行動である。

以上の情況から見れば、中国は明らかに日本を主要敵国と見なしている。中国は、米国を敵国と見なしていないわけではなく、ただ米国に対抗する力がないため、敢えて公言しないだけである。軍事演習が地域の緊張情勢を加勢させることを、北京当局はよく認識しているはず。にもかかわらず、敢えてこうした行動に出たのは、武力で日本を威嚇することを意図しているとしか考えられない。しかし、その結果は、日米安保条約および台湾との共同防衛を強化につながる。中国自らが主張する「平和的発展路線」と矛盾するこれらの行為は、中国上層部がすでに軍国主義思想に血道をあげる状態にあるか、そうでないとすれば、総書記兼国家主席、兼軍事委員会主席の胡錦涛がタカ派の軍人により支配されていることを意味する。しかし、北京当局は東側で火を放つ時に、西側に火事が起こる可能性があることを考慮しているのだろうか。

(自由時報より)

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