国連特使、人権委員会に報告書、中国の酷刑問題は深刻

2006/03/25
更新: 2006/03/25

【大紀元日本3月25日】国連特使マンフレッド・ノーワック氏(オーストリア・法学教授)は、このほど国連人権委員会に中国の酷刑問題の調査報告書を提出した。報告書の中で、中国で酷刑の濫用は非常に深刻であると指摘した。マンフレッド・ノーワック氏は昨年11月21日から12月2日まで、中国を訪れ、中共政権による酷刑濫用の状況を調査した。国連による中国の人権状況と酷刑問題について正式調査したのが今回は初めて。

ノーワック教授は、報告書で、北京を含めて中国全土で酷刑の濫用は非常に深刻だと指摘した。報告書は、十分な証拠から中国の裁判所は、審査する際に強制的な手段で自白を得ていることは証明できるとし、「中国の刑務所では、自供や、罪状の認知と労働教育を非常に重視している。しかしこのような手段を政治犯に使用されていることは非常憂慮されるべき問題である。『反革命団体を組織する』、『反革命の宣伝と煽動』などの罪は1997年にすでに廃止されたにもかかわらず、1997年以前に投獄されていた民主活動家と政権異見者は、いまだに監禁されている」と述べている。

報告書は、中国で酷刑は自白の強要、懲罰、洗脳の方式として使用され、酷刑被害者のための申し立て制度がまったくないとし、「酷刑は中国の労働強制収容所で日常的に使用されており、しかも通常は警察官により実行され、ほとんど管理されていない状況である」と指摘している。

中国で調査した酷刑の種類として、 「めった打ち、電気警棒の使用、たばこの押し付け、目隠し、犯罪者に暴行させる、長期間に手錠や足枷の着用(独房での監禁)、汚水や池などに沈める、極寒、極熱の環境に長時間放置、耐え難い姿勢の長時間保持、睡眠や飲食をさせない、長期間独房に監禁、治療と薬の服用を禁止、重労働、宙吊り、高さわずか数センチの小さいなペンチに長時間座る(体は微動だにすることも禁止)という『虎ベンチ』、腰を極度に曲げ、両足は踵を合わせて直立し、両腕を高く挙げるという『飛行機に乗る』、高いベンチに立たせ、力が尽きるまで殴打し続けるという『鳶を疲れさせ死なす』」をあげている。

ノーワック教授はまた報告書で、中共政権は転向しない異議者に対して、精神病院の手段を使用して被害者の思想や人格を破壊していると非難した。報告書によると、調査中に出会った多くの被害者は、心理的な重傷を負い、傷口の見えない迫害を受けている。特に、法輪功学習者は、中共政権に国家安全を脅かす最大の脅威とみなされ、法的な審査も受けられずに、収容所に監禁され迫害され、強制的な洗脳を強いられている。

報告書は、中共政権は容疑者に黙秘権を与え、酷刑で強制自白の獲得を徹底的に廃止、国際人権の基本準則と国連憲法を遵守すべきと要求すると同時に、中国では独立の司法制度を確立させる重大な法制改革を実施しない限り、酷刑問題を解決する道がないと指摘した。

報告書によると、近年中国での酷刑問題が中国社会で注目され、特に、2005年では、重大な誤審案件が発覚し、酷刑の濫用に対する争議が高まっているという。「多くの中国の官僚と学者は酷刑の濫用を認めていることは、大きな前進である。中国の学者と新聞記者が発表した、酷刑問題や中国の刑務所のその他の問題点を批判する詳細報道は増えている。それらの問題点は、調査不足や警官の職業訓練の不足、拷問で自白を強いるなどが含まれている。中国の官僚とアナリストは、酷刑の濫用は一般的に存在し根が深い、この問題を解決するのは困難だとみている、なぜならば、地方警察は、案件を調査する際に、上級部門から強い圧力をかけられ、自白の強要に走るようになる」。

報告書はまた、労働改造制度と労働教養院の撤廃や、精神的な拷問の中止も実施すべきで、「国家安全の危害」「社会秩序の騒乱」などの中共政権の政治犯制度も廃止すべきであるとしている。これらの罪状は中共政権に酷刑の実施を十分に与えているとしている。また、監獄、拘留センター、または精神病院などで進行している強制洗脳も、廃除しなくてはならないという。

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