中国の知識人ら、「言論の自由は封殺できない」と当局に公開状

2006/08/04
更新: 2006/08/04

【大紀元日本8月4日】中国と香港の学者が共同で運営するウエブサイト「世紀中国網(www.cc.org.cn)」はこのほど、中共政権に強制閉鎖された。それを受け、北京のフリー作家・劉暁波氏や、「天安門の母」(1989年の「天安門大虐殺」で殺された若者の母親が結成したグループ)・丁子霖氏、「氷点」の元責任編集者・李大同氏、ペンネーム「ステンレスねずみ」のネット評論家・劉荻氏など103人の中国知識人は連名で公開状を発表、世紀中国網の強制閉鎖を非難すると共に、中共政権に対し、国民に言論の自由を還元するよう訴えた。

公開状には、「世紀中国網は自由、独立、民主、寛容、理性の主旨を厳守、中国知識層の代表人物と海外にいる華人の知識人を集結し、中国国内のインターネットサイトにおける国民の言論の範囲を拡張し、国内における政治改革と、国内外の知識人の交流を深めることに独自の貢献を捧げた」と記され、中共政権がこのサイトを強制閉鎖することは、憲法違反だけではなく、言論の自由への圧制であると指摘、「我々は明確かつ強烈な抗議の声を上げざるを得ない」と訴えた。

さらに、世紀中国網が強制閉鎖されることは、「中国の現在の情勢下において、その政治的な効果は、国内のウエブサイトでの最後の知識交流の場を踏み潰したことに相当する。官と民の意思疎通を結ぶ高品質なネットワークのプラットフォームが封じられただけではなく、国内外の華人が共有する交流のルートも閉ざされ、全世界にいる華人の知識人を中華民族から排除してしまい、精神上、中国の知識人を世界から隔離してしまった」と、強制閉鎖の反響が大きいことを伝えた。

公開状に署名した103人の知識人代表者は、「圧制に沈黙を保ちながら生き続けるよりも、(抗議の)叫びをあげる道を選択する、例え我が命が奪われても屈さない。人間は考えることや、発言することを止めてはならない。言論と報道の自由は万国共通の基本的な人権であり、伝統メディアであろうと、新興のネットメディアであろうと、政府はメディアが情報を公表することに対し干渉・禁止する権利を有しない。言論を禁止する制度は人類の基本理念や、国連が定めた普遍的な人権の原則、中国の現行の憲法などに違反する。同時に、人類社会が道義上、言論の自由を尊重・保障する時代に邁進し、情報の伝播技術もインターネット時代に突入した今、言論を禁止する制度は道義と技術の両面において、窮地に陥っている。例え、頻繁に政府の公権力を濫用しても、ウエブサイトでの言論を徹底的に封殺できない、言わば、ウエプサイト上で言論を完全禁止するのは、技術的に不可能だ」との見解を強調した。

劉暁波氏を含めこれらの103人の知識人代表者は、ネット(www.qian-ming.net)での署名活動を発起、全世界の華人に対し、中国国内のウエブサイトでの言論自由を求める活動を声援するよう呼びかけている。中国における言論の自由化運動を支持したい場合は、署名を以下のメールアドレスchinesemz@gmail.comに送信すればよい。

世紀中国網は2000年7月に、北京の中青未来社区文化発展研究所と、香港の中文大学の中国文化研究所が共同設立したウエブサイトである。メンバーには国学研究の第一人者・饒宗頤氏などが含まれている。多くの知識人と政権の異見者はこのサイトで、政治や、スポーツなどあらゆる分野の文章を公表し、異見学者である王怡氏と楊支柱氏の中共を批判する文章も度々このサイトのフォーラムに掲載されていた。世紀中国網の責任編集者は、サイトが強制閉鎖された後、ネットで本件に関する法律追及の権利を保留すると表明した。

中国人権民運資訊センター(本部、香港)によると、今年7月以来、中共政権はインターネットへの規制を一層強化した。二つの事件が特に注目されている。1つは重慶市公安局が7月6日に出した通達。その中で、自宅でネット接続できる市民は現地の公安局に届出登録をすることや、引越し、あるいは、プロバイダーを変える時に、再登録しなくてはならないと定めている。また、重慶市当局は現地の120万人あまりのネット利用者に対し、今年10月30日までに届出登録を完了するよう命じ、違反者には3千元(日本円約4万円)の罰金を課した上、ネット接続を6ヶ月間禁止する。

もう1つの出来事は、福州市公安局は7月19日、市内のネットカフェで、6人のネット利用者を逮捕した。逮捕の理由は実名でネット接続しなかったからだという。

同センターは、この二つの事件は中共の国家安全部による政権の異見者への監視に関連していると分析している。

内部情報筋によると、中共の国家安全部は、20万人のブラックリストを保有している。個人の自宅でのネット接続を公安に届出することが義務付けられ、ネットカフェでも「実名でネットを接続する」との命令が出された後、このブラックリストに載っている該当人物が自宅またはネットカフェでネット接続するときに、国家安全部のコンピューター監視システムが作動し、警告を出し、当局は目標人物のパソコンを即座に監視を始めるという。

(記者・文龍)

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