中国官製メディアの中東戦争報道から見る「中共のテロ支援」

2006/08/12
更新: 2006/08/12

【大紀元日本8月12日】ここ1ヶ月間、イスラエルおよびレバノンの武装衝突がエスカレートし、国際世論の焦点となった。中共官製メディアの同件についての報道から、中共がテロ組織を支援している一貫した態度がさらに浮き彫りとなったとアナリストに指摘されている。

7月25日、イスラエルのシーア派に対する空襲で、国連平和維持軍の中共側軍事観察員・杜兆宇氏が爆弾を受けて死亡。その後、8月6日、シーア派がイスラエルに対して報復し、ロケット弾攻撃で中共側の国連平和維持軍3人が負傷した。その二つの中共側の軍人死傷事件に関して、北京の自由作家・劉暁波氏は、これまでの中共官製メディアの報道から、中共はシーア派を支持し、イスラエルを譴責する態度がすでに見えたが、事件後、中共のイスラエルに対する憎しみおよびシーア派に対する容認の態度がさらに明らかになったと指摘した。

新華社および外交部の報道反応

8月6日のシーア派がイスラエルに対して報復攻撃で中共側の国連平和維持軍3人が負傷した事件に関して、同日の新華社ネットはこのように報道した。「中国兵駐屯キャンプ責任者・羅富強氏は新華社記者に、現地時間11時40分、イスラエル部隊が突然駐屯キャンプから約500メートル離れたレバノンの村に現れた。15分後、レバノンのシーア派が発射したロケット弾が同キャンプ北西角度位置に落下し、爆発した。ちょうど、歩哨を交替する時間だったため、3人の兵士が爆弾を受けたが、怪我は比較的に軽いと語った」。

劉暁波氏は同報道の意図に関して、中国人視聴者に、ロケット攻撃事件発生の責任はイスラエル部隊にあると伝えたく、シーア派がイスラエル部隊に対して発射したロケット弾が平和維持軍キャンプに落下したことについては、シーア派が意図的に襲撃したのではなく、誤爆であることを強調していると分析した。

同事件に対して、中共外交部スポークスマン秦剛氏は6日、「爆弾は中国の国連駐レバノンの臨時部隊キャンプ付近に落ち、中国平和維持軍の3人が軽傷を受けた。中共政府は負傷者に対して慰問し、関係部門に必要な治療を提供するよう求めた。また、中共側はすでに今回のレバノン・イスラエル間衝突の『関係者』に対して『交渉』を行った」と発表した。

秦剛氏の発言について、作家の思寧氏は、爆弾はどこの誰が発射したのか、また、「関係者」とは誰かについての説明がなかったと指摘、中共側は決して、レバノンのシーア派に単独で責任を負わせないとし、衝突を行った双方が責任を負わなければならないとのニュアンスを漂わせた発言であると分析した。思氏は、白黒も付けずに、「交渉」するのはまさに、レバノン・シーア派をかばっていることだとの見解を示した。

さらに、新華社ネットは同日夜、同件について「爆弾は中共の国連平和維持軍駐レバノンの臨時部隊キャンプ付近に落ち、中国人平和維持軍の3人が軽傷を受けた」と報道し直した。秦剛氏の発表を事実として報道、爆弾事件の責任側の名前さえ言及しなかった。

2回の爆弾攻撃における中共の異なる反応

7月25日と8月6日の2回の爆弾攻撃事件に、中共側はそれぞれの異なる反応を示した。

7月25日のイスラエルのシーア派に対する空襲において、胡錦濤主席はテレビを通じて、国連平和維持軍の中国人死者に対して哀悼の意を訴えた。また、中共外交部長・李肇星氏、中共駐国連代表・王光亜氏、中共外交部スポークスマン秦剛氏は共に、イスラエルを強く非難した。

一方、8月6日のシーア派がイスラエルに対する報復攻撃について、中共当局は外交部スポークスマン秦剛氏のみが発言し、「同件に強い関心を持っている」「非常に不満」および「交渉を行う」ことを発表した。同氏の発言では、攻撃を起こしたシーア派の名前さえ言及しなかった。

どちらにしても、中共当局の代表者らはすべてイスラエルを非常に厳しく非難した。反対に、シーア派に対しては責任追及を回避するようにしていることが明らかである。

劉暁波氏は、中共当局および官製メディアは、イスラエルとシーア派に対して正反対な態度をとっていることは、中共の中東問題における一貫した立場、即ち、米中競争の大きい背景において解釈するしかないと分析。

同氏は、イスラエル対パレスチナ、イスラエル対レバノン、またはイラク戦争およびイランの核問題など、中東問題にかかわるすべてのことにおいて、中共は常に暴君、独裁者、原理主義政権およびテロ組織側を支援していることを指摘、分析している。

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