少林寺、3.5億人民元でレジャー施設を建設

2006/11/08
更新: 2006/11/08

【大紀元日本11月8日】中国河南省嵩山少林寺は最近、佛教戒律を打ち破って、3.5億人民元(日本円40億相同)を投資して少林寺の隣で「禅宗レジャーゾーン」を建てようとしている。そのうちの1億元近くは「禅宗少林・音楽大典」の創作に用いる。厳粛な佛教修行の聖地が金儲けの場所として使われることについて、中国民衆からいろいろな反論が起きている。「少林CEO」と称される少林寺の住職釈永信氏を、少林寺の文化を売買していると非難する声も上がっている。

中国メディアの報道によると、「禅宗レジャーゾーン」の場所は嵩山の谷間に立地する少室山待仙谷が選定され、面積は驚くことに9600ヘクタ-ルに達し、700名の俳優が同時に出演できる。全部の工程が来年3月に完成する予定。核心部分の「禅宗少林・音楽大典」の創作費は1億元近くも掛かり、アカデミー賞音楽創作賞の受賞者譚盾と有名なダンサー黄豆豆を招聘する。試演はすでに10月に行った。「禅宗レジャーゾーン」は全部で3.5億人民元の費用を掛かる予定。

河南嵩山少林寺は近年海外に広く進出して分院を出し、カンフーができる僧侶たちは頻繁に海外の武術ショーに参加、更に少林寺を話題にする映画と番組に出演して、少林寺の年商は1億元を越えると言われる。寺院がこのように商業を賄うのが良いかそれとも悪いか。 ネット上の調査結果によると、7割の投票者が少林寺のやり方は佛教の清浄を破壊すると思っている。

佛教の清浄を破壊する行為と非難される

少林寺が「禅宗レジャーゾーン」に3.5億元を投資する意味があるのか?中国最大のインターネットサービス会社sinaが8月にウェブサイトで行った調査の結果、4,000名近くの投票の中、71%の投票者が「必要ない、佛教の清浄の地に、近代化文化が侵入すると元来の雰囲気を破壊する」と答えた。それと対照に、18%の支持者が「必要である。禅宗文化を通して少林寺独特な観光資源を開発できるから」との意見だった。また、インターネット上の論議では、「少林寺が設立して以来、ずっと佛教の聖地であり、世間の事をいっさい問わない禅宗の哲学こそ少林寺が千年も生き延びた原因である」、「いい加減にしなさい、無限に佛教の商業価値を掘り出すのはあまりにも貪欲だ」などの意見も少なくなかった。

また、「3.5億元はどれだけの貧乏な児童を学校へ行かせられるか。どれだけ重病にかかっている貧しい人の命を救えるのか。我が仏は慈悲であるのではないか。仏は衆生を愛するのではないか。多く善事を行うのはもっとも宗教の教義に近い、もっと意義のあるお金の使い方をすべきではないか」、「少林寺を企業にして、金のなる木にして、思う存分に少林寺の文化を売買し、寺院の基本的な機能を壊し、善男善女の信仰を傷つける」 と非難の声もある。

地元当局の支持

報道によると、長い間、地方では官民ともに少林寺を一つのブランドにして利用しつつある。「少林寺は全省の観光業の筆頭であり、交通、飲食、宿泊などのような関連サービスを引っ張れる」と、中国国際旅行社登封支社の社長王育民氏が言う。

少林寺から200メートル離れている「少林寺武術館」は現地の観光局が開いたものである。「武術館」は通常に授業を授けて、3つの武術実演チームが毎年世界各地に公演を行い、少林寺の向こう側にある「十方禅院」は鄭州市製塩工業会社が一つ商業の投資として建てたもので、中に500羅漢像と大型な仏像、観音像が置かれている。

昨年河南省発展改革委員会は少林寺など3つの観光地の共同入場券値段を40元から100元に上げて、上げた分は少林寺と登封市財政がそれぞれ3割と7割を分けている。

少林寺の商業価値の高まりは、住職の釈永信氏の協力がなければ実行できない。観光業振興に貢献したとして登封市政府が釈永信氏に100万人民元の豪華車を贈呈した。

一方、少林寺は社会での評価が益々低くなっている。南方のある新聞紙は、少林寺はいったい武術を学ぶ場所か修禅の寺院か、あるいは商業的な観光地か宗教の聖地かと批判した。

袈裟を被った「CEO」

報道によると、この袈裟を被った「CEO」が少林寺住職に勤めて以来とった一連の行動は世間を驚かせた。彼が豪華なジープに乗ってあちこち旅をしたり、ジェット旅客機に乗って世界を周遊したり、大規模なショーを企画してハリウッドの有名人達とも付き合いがあったり、そして全世界で少林寺の分院を設立しようとしている。

釈永信氏が「少林寺は企業の理念を持って社会によい商品、よいサービスを提供すべきである。この理念を執行すればこそ少林寺はもっと良く存続することができる」ということを信条にしている。今、釈永信氏が毎日企業の経営者、政府の官吏、外国の来訪者など様々な社会の人達に会うことで忙しい。

釈永信氏に対する批判はインターネット上で多く見られる。「仏家の腐敗分子??」、「彼はすでに名利場の達人になって、仏家弟子の中の腐敗分子だ!」、「昔は和尚の心を仏に供えたが、今の和尚の心で供えるのはお金だ。釈永信は少林寺の住職を辞めて企業家になっている。彼は仏門を汚した!世間に染められたのにまだ和尚をする資格があるか?仏門を離れよ」、「少林寺のカンフーができる僧侶たち、目覚める時になった。少林寺歴代の住職のために仏門をきちんと整理しよう!」とか、「少林寺に必要なのは文化なので、CEOなんて要らない」とか、「国が亡くなる寸前で、必ず魔がある!」などの非難までもある。

実際、中国大陸各地で有名な寺院と道観がほとんど商業に向けて開発されている。不満の観光客のクレームによると、仏教の名山・九華山でくじを引こうとしたら、そばの和尚はまずお金を要求してくる。杭州霊隠寺に行っても、入り口が見つからない。結局、まず30元で飛来峰の入場券を買って、それから40元の入場券を買って霊隠寺に入る。正殿に入っても、カウンターの後に観光客の布施を請う「係り」の和尚が座っているという。

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