釈放された高智晟氏、故郷で軟禁状態

2007/01/08
更新: 2007/01/08

【大紀元日本1月8日】昨年8月に逮捕された中国の人権派弁護士・高智晟氏は、12月下旬に釈放された後、妻と子供と一緒に中国北部の陝西省(高氏の生まれ故郷)に軟禁されているという。各ルートの情報筋が明かした。同弁護士を支持する国内の人権活動家は、高氏の釈放について、さまざまな角度から中国共産党(中共)政権の動きを分析し、国際社会に対し、引き続き同弁護士の動向に関心を向けるよう呼びかけている。

中共政権は昨年8月15日、高智晟氏を逮捕し、同年12月22日に「国家政権転覆扇動罪」で、懲役刑3年、執行猶予5年の判決を下した。その全過程において、家族はいかなる法的文書や説明を受けておらず、同年同月12日に北京市中級人民法院で開かれた法廷審理についても、事後に知らされた。また、家族が依頼した代理弁護人の法廷審理への参加も禁止された。

高氏の救援活動に積極的に参加していた北京在住の人権活動家・胡佳氏は1月5日に、大紀元の取材を受け、高氏一家が現在、北京を離れて陝西省に軟禁されていることを証言した。

胡佳氏によると、高氏が釈放された後、厳密な監視下に置かれ、高氏の兄と姉と電話で話した以外は、外部との接触ルートが完全に封じられたという。

「これは高弁護士自身の選択ではなく、公安の圧力によるものだ。高氏の言論が公共のネット、メディアに掲載される場合、再び投獄されると脅迫されたからだ」と胡佳氏は明かした。

別の情報筋によると、高氏が釈放された後、当局は故郷に帰省することを要求したという。

国際社会の圧力で釈放された

高氏は釈放について、胡佳氏は、国際社会による圧力の結果であるとの見解を示した。

米国や英国、カナダ、ドイツ、フランスなどの欧米国家は、高氏の案件とその家族の処遇に高い関心を寄せている上、欧米の政界要人も中共政権の幹部と接触する際に、幾度も本案件に言及したという。

また、胡佳氏は、「高弁護士の案件は2008年の北京オリンピックとも関連している。世界各国の人権問題に注目している政府関係者や、アムネスティ・インターナショナル、人権団体などは絶えず(高氏の逮捕を)非難する声を発していた。中共政権も、本案をうまく解決しなければ、オリンピックの開催に障害をもたらすと認識し始め、妥協したのではないか」と語り、国内外の多くの民間団体による抗議の声と救援活動も、中共政権への圧力になり、高氏の釈放に功を奏したという。

綿密な情報封鎖

高氏が釈放されたことについて、胡佳氏は、「これは中共政権の前進を意味するのではなく、むしろその陰湿さをさらに露呈した」と評した。

「執行猶予つきの方式で高弁護士を釈放したのは、国際社会による非難の声を封じるためであり、国内外の人々は本案が一旦終結したと認識させた。その一方で、5年間の執行猶予は、高弁護士に形のない牢獄を見せ、外部との連絡を絶たせ、消息が途絶えることで、国際社会の忘却を狙ったものと胡佳氏はみている。

胡氏は、「高弁護士の勇気と精神力が人々に強い希望をもたらした。彼の鋭い洞察力も大勢の人の共感を呼んだ。中共政権は状況に迫られ高弁護士を釈放したが、虎を山に戻したような思いで不安を感じている」と指摘、「高弁護士を釈放した後も、(中共は)持続的に情報を完全に封鎖し、隔離措置を講じている。外部には高氏の近況および獄中での処遇を知らせず、高氏にも、国際社会による関心と救援活動の動きを隠した。さらに、中共政権は偽情報を故意に流し、双方に誤解を生じさせ、仲間割れさせる狙いがある」と暴露した。

他の情報筋からも、「密室操作の中で、中共政権は外部に流言を発し、故意に高弁護士を中傷しようとしている」との証言が得られ、また、高氏一家を故郷に軟禁したのは、外国メディアと高氏の接触を封じるためとの説も浮上した。

国際社会へ継続的な注視を呼びかける

胡佳氏は国際社会の政界要人や、国際オリンピック委員会、国連などに対し、引き続き高氏の境遇に注視するよう求めている。

胡氏は、高弁護士は言論を発したことが罪となり、「国家政権転覆扇動罪」を科せられた、本案件は重要な人権案件であると指摘、「中共政権の司法機構はオリンピックの開催を守るとの口実に国内の人権活動を取り締まっている。これはオリンピック精神に完全に背いている。そのため、国際オリンピック委員会にも、中国で発生している関連の人権迫害案件の解決に参加するよう要求していく」と述べた。

胡佳氏は、中国国内で血液売買によってエイズに大量感染した被害者らの救済と支援の活動家であり、昨年の7月17日から今日までに、自宅に24時間軟禁されている。高氏が逮捕されてから、胡佳氏は絶えず外部に救援を呼びかけ続けてきた。「一分間でも自由があれば、私も高氏の家族を見舞いに行くつもり。外部に高弁護士一家が受けた屈辱を知らせることができれば、我が身に危険が生じても惜しまない」と真意を語った。

(記者・辛霏)