人民元切り上げへの圧力増 米下院歳入委員会、対中制裁法案可決

2010/09/26
更新: 2010/09/26

【大紀元日本9月26日】米国下院歳入委員会は24日、人民元切り上げ問題に関する対中制裁法案が投票により可決された。自国通貨の為替レートを故意に低水準に抑える国の輸入品を対象に、米政府が処罰的な相殺関税を課することを、同法案は認可している。

下院歳入委員会のサンダー・レヴィン(Sander Levin)委員長によると、オバマ大統領は23日、中国温家宝首相との会談で、中国は世界貿易機関(WTO)の加盟国として、加盟にあたっての約束を遵守し、義務を履行しなければならないと示し、中国が人民元問題に関して必要な行動を起こさなければ、米国はそれなりの措置を実施するとしている。レヴィン委員長は、「同法案の可決はその一歩である」と述べた。

同法案は来週、下院本会議で審議される予定。下院で通過されれば、米国の人民元問題に関して中国への圧力は一層強くなり、米中間の関係はさらに緊迫すると予想される。同法案が下院で通過すれば、上院に提出され審議される見通しだが、米国は11月に中間選挙を控えており、中間選挙前に上院で通過するか否かの見通しはたっていないという。

温首相:人民元の大幅な切り上げは中国社会に混乱をもたらす

国連総会で米国ニューヨークを訪問している中国の温家宝首相は22日、人民元には大幅な切り上げ条件がまだ揃っておらず、大幅な切り上げは中国社会に大きな混乱をもたらすと強調した。「もし米国の議員たちの要求に従って、人民元を20%~40%切り上げると、どれほどの中国企業が倒産に見舞われるだろうか。またどれだけの中国労働者が失業し、どれほどの農民工が農村に戻らなければならないか、想像もできない。中国社会に新たな混乱が引き起こされるだろう」と述べ、改めて人民元の大幅な切り上げの可能性を否定した。

また、同日行われた歓迎会で温首相は、米中貿易不均衡の主因は人民元の為替レートではなく、双方の貿易および投資構造にあることを指摘した。

オバマ大統領:中国の取り組みは不十分

23日に行われた米中首脳会談において、米オバマ大統領は中国側に対して、人民元問題で緊迫化する一方の両国の関係を緩和するために、迅速な大幅な人民元切り上げ実施を求めた。しかし、会談後に行われた記者会見でホワイトハウス国家安全保障会議のベーダー・アジア上級部長は、オバマ大統領の要請に温首相が「為替制度の改革を着実に続けている」と繰り返して述べただけだった。両首脳の会談に進展がなかった。 

オバマ大統領は米中首脳会談の前に、ワシントンでの討論会で中国の人民元問題への取り組みは十分ではないと指摘した。

(記者・林帆、翻訳・張哲)
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