チベット封鎖 結党90年記念を前に 敏感な中国当局

2011/06/25
更新: 2011/06/25

【大紀元日本6月25日】「7月1日の(中共)結党90年記念日を前に、チベットは封鎖された」、チベット首都ラサにある旅行代理店のスタッフはこうつぶやいた。

一党支配に対する反対勢力・不安定要素に敏感な中国政府は、チベットやウイグル自治区などへ外国人が訪問することを、この記念日を前に特に警戒している。

匿名を条件に、ラサのホテル内にある旅行代理店スタッフがロイターの取材に答えた。「90周年記念日を前に、新しい規制が設けられた。ツアー団体を含む外国人旅行者はチベットに一切入ることが出来なくなった」

また、この新たな規制について北京にある旅行代理店のスタッフは、「多くのツアー予約のキャンセルを余儀なくされた。しかし理由がわからない、おそらく政治的な何かが要因だ」と電話取材に答えた。さらに、「多くの損失を蒙ったので、失望している。この残念な知らせを、お客に説明しなければならない」と述べた。

外国人がチベット自治区に入るには中国政府の許可が必要だが、政府はしばしば立ち入り禁止措置を実施する。

内モンゴル自治区では大規模な抗議活動が5月末に活発化して以来、国際的に中国国内の民族デモの動きに注目が集まっている。それを受けて当局は諸外国政府・メディアに対して、自治区に「不安定要素」を植えつけないように、と伝えている。外交部報道官・姜瑜氏は5月末、内モンゴルのデモを受けて、「外国人には『下心』がある。問題を引き起こすためにこの事件を利用している」と発言した。しかしその「外国人」がどの国のことかは明言されていない。

四川省アバ・チベット族チャン族自治州アバ県のキルティ僧院で3月16日、若い僧侶が焼身自殺し、僧院周辺で抗議デモが発生したのを契機に、チベット族と中国政府間の緊張が高まっていた。AFPによると4月22日、同僧院のチベット僧300人が連行され、さらに警察の暴行により2人が死亡したという。

ダライラマ法王事務局は、「50年代の人民解放軍のチベット侵攻以来、およそ人口の5分の1に当たる120万のチベット人が命を奪われた、6千カ所以上もの仏教寺院が破壊された」と主張している。チベット自治区への漢民族の流入が止まない中、チベット民族は北京の圧制に脅かされ続けている。

(翻訳編集・佐渡道世)
関連特集: チベット特集