内モンゴルで再び抗議活動 激化する対立

2011/07/29
更新: 2011/07/29

【大紀元日本7月29日】南モンゴル人権情報センターによると、7月18日、十数台の大型トラックやブルドーザーに乗り込んだ200人余が内モンゴル自治区赤峰市バイリン右旗の村で百頭以上の家畜を轢き殺し、家畜や自分たちの草場の権益を守ろうとしたモンゴル族の遊牧民20人以上に怪我を負わせた。米VOAが伝えた。

今年初め、隋と言う名前の商人と現地政府職員が結託し、同市バイリン右旗のシラムレン鎮の草原1万畝(1畝は6.667アール)以上を安く手に入れた。現地遊牧民は彼らに草原を横領されたことに強い不満を持ち、4月から現地政府に返すよう何度も陳情したが、満足できる回答は得られなかった。

南モンゴル人権情報センター主任・エンフバト氏はVOAの取材に応じ、この事件後、千人以上の現地遊牧民らがシラムレン鎮に集結し、草原を安く売り払った現地政府に抗議し、事件当事者を罰するよう訴えたと話した。

当局は大規模な遊牧民の抗議活動に慌て、一方では幹部を派遣し、遊牧民らを立ち去るようなだめ、また一方では200人から300人の警察を集め鎮圧を行い事態の拡大阻止を図った。バイリン右旗病院は同センターに対し、負傷した遊牧民を受け入れたと証言した。

エンフバト氏によれば、大規模な抗議と衝突事件についての情報は当局により封鎖されており、また、多くの遊牧民は事件後の当局の処理を恐れているため、今回の事件についての情報は伝えられていない。

今年5月10日、同自治区シリンゴル盟西ウジムチン旗の遊牧民メルゲン氏が経済開発による環境破壊から自分の草場を守ろうとして石炭輸送車両に轢かれ、150メートル引きずられた後、殺されるという事件が発生した。これにより5月25日には2千人を超すモンゴル族の学生や遊牧民がシリンホト市政府の前で大規模な抗議デモを行っている。

「生態移民」に強い不満

一連の抗議活動の裏に、内モンゴル遊牧民の「生態移民」に対する強い不満がある。中国政府は2001年から内モンゴル自治区において生態移民を実行しており、代々草原を家としてきたモンゴル族に草原と牧場から離れ、農業区あるいは都市に移るよう指導してきた。この他にも中国政府2003年から自治区内の44旗県において放牧を禁止し始めた。移民と放牧禁止の影響を受けた遊牧民は、生活の糧を失ったうえ、満足な補償も得ることが出来なかったため、政府に対し大きな不満を抱き、ここから根強い対立と問題が植え付けられた、とエンフバト氏は分析する。

米国に亡命した異見者のモンゴル族作家・トゥメンウリジ氏は、中央政府は市場経済の名の下で、モンゴル族の土地と資源をすべて奪い取ったと指摘する。今後、モンゴル族の人々は長期的な非暴力的抗争によって、初めて自分の生きる権利や発展する権利を獲得することが出来るのだと同氏は主張する。

(翻訳編集・坂本)

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