弱まる求心力 豪腕権力者なき中共政権

2012/02/24
更新: 2012/02/24

【大紀元日本2月24日】次世代へと権力者が移り変わるにつれ、中国共産党という名の船の舵取りをするトップの力は、より脆弱なものとなっている。緊張高まる派閥間の内部抗争により、党自体、いよいよ体制維持の危機に瀕しているようだ。

毛沢東は、中国共産党が1949年に政権を握る前から、既に内部で狂信的な力を示していた。「あたかも神であるかのように自分自身を見せていた。誰もその権威を疑う勇気がなかった」と、新唐人テレビの政治解説者であるジェイソン・マー氏は語る。「_deng_小平は軍の出身で、非常に強い人脈を持っていた。対抗しようとするものなど誰もいなかった」

江沢民と胡錦濤、それぞれ第3代と第4代総書記を務める両者は、いずれも_deng_小平により任命された。しかし彼ら個人の権力領域については疑問視される、とマー氏は指摘する。

第5代の誕生については、どうやらこれまでと異なるようだ。

党代表の継承においては、習近平が政治局内の派閥を超えた勢力中で唯一認められた人物であると、趙紫陽元首相の側近・程暁農氏は同TV局の電話取材に対して答えている。

マー氏は次のように分析する。「習近平は基本的にどの派からも出身していない。唯一の利点は、中共内部に絡むどの派閥に対しても強い敵ではないということだ。しかし裏を返せば、その出身ゆえに土台の影響力は弱い」

習近平の敵は少ない。しかし、習近平を育てた人物も少ない。「(選挙において)中国では民衆の支持は関係ない。オバマ氏が選挙活動をして票を得る米国とは違う。すべでは微妙な権力闘争だ。つまり軍からどれほどの支持があるか、保安部との関係は良好か、要求どおりに報道する者が宣伝部にいるか、などの要因が絡む」「習近平がトップに立っても、どの分野も強く支配できるとは思えない。派閥の狭間に立って何も出来ないだろう」と、マー氏は分析する。

ペンシルベニア大学で国際関係論を教えるアーサー・ウォルドロン教授は、「習は、_deng_小平に承認されない初の後継者候補だ。中国の政治家は、有力者の後ろ盾なしで意見の統一を図ることは不可能だ」と大紀元の取材に対して答えた。

マー氏はまた、次期の中国情勢を悲観的に見ている。「現在、経済はまだ8~9%成長しているが徐々に減速しており、一般市民の社会状況は不安定だ。利益集団間の抗争はより激しくなる」

「新たなトップが権力を執り、事を支配することで問題解決と人の管理をしようとしても、同時に問題が勃発すれば大崩落が起こりうる。誰も中共内の混沌は防ぐことが出来ないだろう」とマー氏は付け加えた。

(文・マシュー=ロバートソン/翻訳編集・佐渡 道世)
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