世銀の会見に男性が乱入 民営化勧告は「毒薬」と非難=北京

2012/02/29
更新: 2012/02/29

【大紀元日本2月29日】世界銀行ゼーリック総裁が28日、北京で記者会見を開いた際に、独立学者を名乗る中国人男性が乱入し、世銀が中国経済への助言は「毒薬」であり、その「毒とともにアメリカに帰れ」などと叫ぶ一幕があった。

騒ぎは、世界銀行と中国国務院発展研究センターが共同でまとめた報告書の発表会見で起きた。『2030年の中国:現代的で調和的、創造力のある高収入社会を構築』と題するこの報告書は、「中国経済は予兆なしで急激に減速する危険性がある」と警告し、政府の役割を縮小し、銀行や国有企業民営化の道を進めるよう求めていた。

会見でゼーリック総裁の話が始まった直後、自称独立学者の男性・杜建国さんが突然、記者の前に出て「世界銀行は毒薬で中国を滅ぼそうとしている」と叫び、その勧告は中国の貧富格差をさらに広げると主張した。また、「世界銀行よ、自身の毒とともにアメリカに帰れ」と題する中国語のビラをも配布した。

男性はビラで、米ウォール街の銀行は「詐欺者」と「寄生虫」であると、「ウォール街を占拠せよ」運動の主張と似通ったことを主張し、中国の銀行が民営化を推進すれば、「ウォール街になってしまう」と抗議した。また、中国の国有企業に民営化を助言しているのは、「とても健全な」国有企業を弱体化し、西側企業の競争相手を揉み消すためだと、世銀の「陰謀」を非難した。

ゼーリック氏は一連の騒ぎについて、「この報告書がすでに中国で興味深い議論を引き起こしたことの表れだ」と冷静な対応を見せた。

一方、同報告書が発表される前から、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は作成にかかわった専門家らの話として、報告書は国有企業の経営者から強烈な反発を受けていると報じている。

28日のワシントン・ポスト紙は、「(報告書)は中国の複雑に絡み合う既得利益集団の猛烈な抵抗に遭うだろう」との見解を示した。この集団には、執政党の共産党や政府機構、金と権力で固められた国有企業がある。「(報告書の)提案が採用されれば、彼らの権益が損なわれることになる」

そのため、既得利益層に改革を求め、自身の権益を削減させることは、「与虎謀皮(トラと皮の相談をする)」「犬の口から肉まんを奪う」ことと同じように不可能だ、と中国のネットユーザーの間で早くも諦めムードが広がっている。

 (翻訳編集・張凛音)
関連特集: