日本 中国医療の現状

高い医療水準に安価な治療費 インドに活路を求める中国人患者

2016/06/10
更新: 2016/06/10
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中国の製薬業界では、製造技術と医薬品管理システムの問題や利益を追求する風潮が蔓延のため、製造過程で不純物を混ぜて量を水増しするといった違法行為が当たり前のように行われている。その結果医薬品の品質が極めて低いし、偽薬品も横行している。

しかし、医薬品の海外「代購」(訳注:海外在住の個人や業者から外国製品を直接購入する方法)は中国の法律で禁じられているため、安全な薬を求める中国人患者がインドで直接医薬品を購入するケースが増えてきた。それにともなって、患者の渡航を仲介する会社も続々と設立されている。

 中国国内では1000万円の特効新薬、インドではわずか10万円

米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、C型肝炎に罹患した雲南省大理の劉さんは、ソフォスブビルという特効新薬をすぐに使う必要に迫られていたため、友人を介して、インド製の同薬品を現地販売価格の約2倍である1万元(約16万6000円)で購入した。1クール使用した後の検査結果では、いずれの数値も正常値まで回復していることが確認され、「病気は確実によくなった」と効果を実感している。

ソフォスブビルは米製薬会社ギリアド・サイエンシズが2013年に販売を開始したC型肝炎の大型特効新薬で、どのタイプのC型肝炎に対しても95%以上の治癒率を誇り、副作用も極めて少ない。ソフォスブビルは非常に高価で、劉さんによると、中国なら1クールの治療にかかる費用は60万元(約1000万円)にも上るという。

報道によると、米国でソフォスブビルの販売が開始されてわずか10カ月後に、インドの製薬会社も同薬品の製造を開始した。インド政府は、国内の患者が負担できる範囲で適切な治療を受けられるようにするため、一部の難病に使用される緊急性の高い医薬品について、インド国内の特許法を改正して「強制許可」項目を追加している。この法改正によって、インドの製薬会社は外国のビッグファーマが先発薬の販売を開始した直後から、同じ薬品を製造することが可能になった。インドで製造されるソフォスブビルの国内販売価格は1クール当たり約6000元(約10万円)で、米国販売価格のわずか1%にすぎないが、治療効果、薬効成分、生産工程のいずれも米国内で製造される先発薬とほぼ変わらない。

患者のニーズに応え、海外医療仲介サービス業界が大盛況

中国政府の薬品代購禁止措置によって、個人旅行でインドへ渡航し薬を購入する中国人患者が増え続けていることから、中国では春雨国際医療や北京雲天慈航健康管理有限公司をはじめとする海外医療仲介サービス会社が続々と設立されている。

中国メディアによれば、江蘇省無錫に「抗がん剤代購の第一人者」と呼ばれている男性がいる。2013年、自身も慢性白血病患者だった陸勇さんは、闘病中に知り合った1000人あまりのがん患者に対し抗がん剤の代購を行った。世間の反響が大きくなったため、一度は当局から拘束、起訴されたものの、多くのネットユーザーやマスコミからの支援によって、検察院が起訴を取り下げたといういきさつがある。陸さんは釈放後、今後代購は行わないと発表したが、中国人患者に対し、インドへの渡航や現地での薬の購入や治療面におけるサポートを今でも続けている。

 

「魏則西事件」によって、完全に信頼を失った中国医療業界

中国は世界貿易機関(WTO)に加盟後、特許法の中に「強制許可」条項がないことから、医薬品を輸入する際には国外の製薬会社による独占価格を受け入れなければならなくなった。中国の後発医薬品製薬会社でも特許の切れた薬品をジェネリック薬として大量に生産してはいるが、生産工程が悪く、不純物の違法混入などもあり品質が確保されていない。

さらに、最近起きた、大手病院と広告を利用して多額の利益を得ていた「魏則西事件」によって、医療現場やマスコミ報道、ネット上の情報も嘘が多いことが明らかになった。国内の医療業界に期待できない中国人患者は、インドに活路を求めるのは当然と言えそうだ。

 日本でも薬を爆買いする中国人

 患者の多くは、インドで治療を受ける場合には治療費に加えて飛行機代や滞在費なども生じるが、それでも中国国内で欧米の高価な輸入薬品を使うよりも安上がりだと語っている。

インドだけでなく、日本で医薬品を買い求める中国人旅行者も爆発的に増えた。ある中国人薬剤師はメディアの取材に対し、日本の医薬品管理基準は非常に厳しく、同じ中国産の原材料を使用していても、日本の薬の方が有効成分の割合が高く、不純物が少ないため、中国産のものより薬効が優れていると吐露している。

偽薬品の販売は 麻薬密売の10~25倍の巨額の利益が得られる

中国の製薬業界では、製造工程がいい加減だったり、途中で材料をごまかしたりといった不正な行為が横行しているため、本来期待される治療効果が上がらない場合が多い。偽薬品の販売は巨額の利益を得られることから、この種の犯罪行為は後を絶たない。偽薬品は材料の加工段階から、包装、配送、販売まで産業チェンが形成され、その販売によって得られる利益は、麻薬の密売の10倍から25倍にも上るという。

中国メディアは事情通からの情報として、正規の医薬品メーカーは利益のため違法と知りながら、偽薬品販売者から製造を請け負って彼らに便宜を図っており、製造後にはネット販売を通じて、国内の隅々まで偽薬品を流通させていると報じている。

「インドのジェネリック医薬品の価格は中国の輸入医薬品価格の10分の一にすぎないが、薬効は先発品と変わらない。多くの中国人患者がインドに流出する原因はここにある。中国の後発医薬品はといえば、価格は高いのに薬効面では劣っている。こうした状況は、当局の医薬品管理体制はいかにずさんかを物語っている。監督すべき役人が、自ら汚職や腐敗に手を染め、組織を内部からむしばんでいるウジ虫だからだ」中国のネット上では、こうした書き込みが後を絶たない。

(翻訳編集・桜井信一/単馨)