北京で27人死傷の火事 暖房供給政策に絡むためか、当局情報統制を強化

2017/11/20
更新: 2017/11/20

中国北京市東南部に位置する、大興区では18日深夜、27人が死傷する火事が発生した。住民らが電気暖房器具を使用中に故障が発生したことが、火事の原因だとみられる。当局は現在、ネット上に投稿された火事関連情報や動画を削除し、情報統制を強化していることに、市民からの批判が集まっている。

国内メディア報道によると、18日午後6時頃、同区西紅門鎮の2階建てアパート「聚福縁公寓」から火が出た。消防車34台が出動し鎮火に当たったが、19人が死亡、8人がけがをした。

北京市当局はアパートの関係者の身柄を拘束したが、出火原因については明らかにしていない。

米ラジオ・フリー・アジアによると、300世帯が入る同アパート周辺は治安が悪いため、住民らは防犯のため、家の玄関ドアや窓に面格子を取り付けていた。またアパートには3つの入口があるが、うちの1つは閉鎖されたままだった。これらが、火事の発生時、住民が逃げ遅れる原因となった。

また、出火原因は北京市当局の、冬季暖房システム供給政策の転換に関係するとみられる。当局が供給する集中暖房システムの主要な燃料は石炭だ。しかし、石炭を燃やして大気汚染物質を大量に排出することが問題視されてから、当局は石炭からガスへの転換を進めている。

ラジオ・フリー・アジアは、地元情報筋の話として、大興区などではガスのパイプラインがまだ整備されていないため、住民らは電気の暖房器具を使っていたと報道した。この暖房器具の故障が出火の原因ではないかと推測した。

香港紙・蘋果日報(19日付)によると、当局は火事発生後、情報統制を強化した。インターネット上で、「北京」や「西紅門」などを入力して検索すると、「関連法律法規と政策に基づき、検索結果が表示できません」との結果になった。

蘋果日報は、当局は各メディアに対して、同火事の報道について新華社通信の報道と写真のみを転載するよう要求した、と報道した。新華社通信の同報道で使われた写真には、鎮火後の様子だけが写されている。

同報道によると、火事になった「聚福縁公寓」の住民の多くは、同アパートの地下室にあるアパレル工場で働く従業員だという。

国内のインターネット上では、「このような大きな事件なのに、微博には関連ニュースが全くない」「当局はちゃんと説明して」「アメリカでの銃撃事件で2人が死亡した時、(全国のメディア)が繰り返して報道したけど、北京の火事で19人が死傷したことはなぜ黙っているのか」と、当局の対応にネットユーザーからの非難が殺到した。

(翻訳編集・張哲)

 

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