日本政府、イージス・アショア導入を決定 配備に5年

2017/12/19
更新: 2017/12/19

[東京 19日 ロイター] – 政府は19日、地上配備型の新たな迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入を決定した。北朝鮮が昼夜問わず弾道ミサイルを発射する中、常時警戒できる態勢を整える。導入には2基合計で最低2000億円かかり、運用開始は今から5年以上先になる見込みだ。

19日午前の閣議で決定した。2018年度防衛予算案に、施設設計費や設置候補地の地質調査費7億3000万円を計上する。17年度補正予算案にも、調達先である米国に支払う技術支援費を盛り込む。

防衛省は日本海側に2基を配備し、射程や速度を向上させた迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」を搭載して北海道から沖縄県まで防衛することを想定している。陸上自衛隊が運用し、24時間体制で警戒に当たる。

小野寺五典防衛相は会見で「北朝鮮の核・ミサイル開発が日本の安全に対するより重大かつ、差し迫った段階の脅威となっている」とした上で、「日本を常時、持続的に防護できるようになり、弾道ミサイル防衛の抜本的な向上が図られると考えている」と語った。

導入費は1基当たり約1000億円。配備場所の地盤や、選択するレーダーなどによってはさらに膨らむ。これとは別に、搭載するSM3ブロック2Aが1発約30億円かかる。防衛省は配備時期を明らかにしていないが、関係者によると、設置場所やレーダーの選定、生産、試験を経る必要があるため、運用開始は2023年度になる見通しだ。

日本の弾道ミサイル防衛は現在、イージス艦から発射する「SM3ブロック1A」を使って大気圏外で迎撃、撃ちもらした場合に地上移動式ミサイル「PAC3」で迎撃する2段構え。イージス・アショアの導入で、大気圏外での迎撃態勢を強化する。また、イージス艦のミサイル防衛の負担任務が軽減し、シーレーン(海上交通路)防衛などに就くことが可能になる。

イージス・アショアは米国が開発した短・中距離弾道ミサイル迎撃システムで、北大西洋条約機構(NATO)のミサイル防衛の一環としてルーマニアで運用が始まっている。ポーランドにもまもなく配備される。

防衛省は在韓米軍が配備している「THAAD(高高度迎撃ミサイル)」の導入も検討したが、イージス・アショアに比べて迎撃範囲が狭く、日本全土を守るには6基以上が必要なことから非効率と判断した。

*内容を追加しました。

(久保信博)

Reuters
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