新疆ウイグルで130万人が収容、制裁科す声強まる

2018/09/11
更新: 2018/09/11

米議員はトランプ政権に対して、中国西部新疆ウイグル自治区における共産党政府による人権弾圧で、米国の人権関連法に基づいて中国に制裁を科すよう求めている。

マルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州・共和党)は9月10日、SNSで、新疆での人権弾圧を重く見て、米国グローバル・マグニツキ―法に基づき制裁を科すよう提言すると述べた。

ルビオ議員は左派メディアNPRの9月10日付インタビュー記事でも、「米国は国際的な舞台で大きく意見を反映する力がある。(人権問題について)これを活用するべきだ」と語った。

米国の「人権の包括的責任に関するマグニツキー法」は、人権侵害の疑いのある人物に制裁を科すことを許可する法律。

ルビオ議員はまた、米国ロナルド・レーガン大統領を例に挙げ、共産主義に対する挑戦として常に人権問題を提起していると説いた。

さらに「米国が、中国がこの20年の経済発展で政治的に開かれると考えていたのは大きな誤りだった」「中国が世界貿易や経済・政治秩序の形成に関与しているが、その責務を負っていない」と指摘した。

米主要紙ニューヨークタイムズは9月8日の一面記事で、新疆における人権侵害を取り上げ、米国社会ではこの問題に対する関心が高まっている。同記事のなかで、住民の一人は「施設は決して過激派一掃の目的ではなく、ウイグル文化を消去するためにある」と語っている。

カナダのブリティッシュコロンビア大学ロースクールに通う中国人留学生ショーン・ジャン氏は、衛星写真分析で、新疆における再教育施設とみられる40以上の建物の分析写真を自身のホームページに掲載している。

人権団体「各国連携して行動しなければ北京が怖いものなしになる」

人権監視団ヒューマンライツウォッチ(HRW)は9日、中国共産党政府による新疆における人権弾圧と取り締まりについて、調査報告書を発表した。58人のウイグル民族から聞き取り調査を行い、117ページにまとめた。現地では130万人以上が秘密裏の集中管理施設に収容されているという。

HRW中国代表ソフィー・リチャードソン氏によると、中国政府による人権侵害はこの10年で最悪レベルだと指摘する。「国連および加盟国は、中国に対して制裁を科すことができるかどうか試されている」と述べた。

新疆での弾圧は、2016年に陳全国(チン・チェングオ)新疆自治区共産党書記が就任して以降、弾圧レベルは一層引き上げられた。住民たちは日常生活においても、厳しい監視制度の下に置かれている。「ホームステイ」と称して自宅に共産党幹部との一時同居を強いられたり、身分証明書発行の抑制、宗教活動の放棄、夜間に中国共産党思想の学習などが求められる。

HRWによると、ウイグル民族の住民たちに対して法的根拠のない拘束、連行、施設収容が行われており、親族の面会や担当弁護士をつける機会さえないという。

ウイグル民族の監視には、ハイテク監視システムが使用され、QRコード、生体認証、ビッグデータ解析、電話の声紋分析などで100万人以上の警察や監視員が投入されている。

国連人種差別撤廃委員会は8月中旬に新疆における人権情報を報告し「人権のない地域」と喩えた。

HRWは、調査報告を証拠として、政府は多国間での共同行動で、国連人権委員会で陳全国氏と弾圧に加わる関係者を非難し、各国で関連法により制裁を科すよう求めた。「この残虐行為が止められなければ、北京に恐れるものなし、となるだろう」

(編集・佐渡道世)