欧州議会、ウイグル人とカザフ人に対する大規模拘束を批判する緊急決議案を可決

2018/10/05
更新: 2018/10/05

欧州議会は4日、中国共産党政府が新疆ウイグル自治区で、ウイグル人とカザフスタン人を対象に大規模な拘束を行っていると非難し、ただちに収容施設から解放するよう求める緊急議案を可決した。フランス国営放送RFIが同日に報じた。

ストラスブール本部で開かれた会議では、10数人の欧州議会議員が、中国政府による宗教の自由に対する抑圧があると主張した。最終的に多数決で「新疆ウイグル自治区における、ウイグル人とカザフスタン人に対する大規模な拘束を批判する」議案を可決した。

決議によれば、中国共産党政権が発足して以来、人権状況は日増しに悪化し、政府は法律を使い言論の自由、宗教の自由への抑圧を強化している。また、拘留された信仰者には、共産党による愛国主義の政治教育が行われており、民族的および宗教的アイデンティティを自ら否定するよう強要されている。

欧州議会は9月に発表した欧州中国関係報告書のなかでも、少数民族と宗教団体に対する大規模な抑圧を非難する文言(もんごん)を盛り込んでいる。

中国政府による宗教や人権の侵害について、国際社会は非難の声を強めている。米国務省は5月、世界宗教の自由に関する年次報告書を発表。それによると、中国憲法では、宗教の自由の保護が明記されているが、愛国的で「正常」な宗教活動の枠内と定めており、何が「正常」なのかを定義しておらず、ひどく限定的である。また、共産党のイデオロギーを受け入れず「非愛国的」と政府が見なした場合、信者の拘束、監視、宗教施設の取り壊しなどの弾圧を行なっていると指摘した。

米国務省の報告書は複数の人権団体の資料や報道を引用している。新疆ウイグル自治区では、数十万人が再教育施設に強制的に送られ、監視下に置かれているとした。キリスト教施設では、たとえ当局の承認する「合法」施設であっても、建物内に監視カメラを設置することが義務付けられている。

国務省は、チベット仏教徒の中には2017年に、少なくとも6人が弾圧への抗議として焼身自殺し、法輪功学習者の数十人は拘留中に死亡した事例を記した。その他に、仏教寺院の強制取り壊しに対して仏僧が抗議のため自殺した例などを挙げた。

国連人種差別撤廃委員会は8月の会議で、新疆の収容所で100万人ものウイグル人が拘禁されていると指摘した。

マイク・ペンス副大統領は10月4日、保守系シンクタンク・ハドソン研究所での演説で、中国の安全保障や貿易分野における米国や同盟国に対する攻撃的な態度を非難した。また、国内問題においても、人権と信仰の抑圧について触れ、「中国政府は信仰の自由に対しての尊重が完全に欠如している」と強い口調で述べた。

(翻訳編集・佐渡道世)