米政府、ボーイング737MAXの運航停止を決定 安全性巡る懸念で

2019/03/14
更新: 2019/03/14

[ワシントン 13日 ロイター] – 米政府は13日、エチオピアで墜落事故を起こしたボーイング<BA.N>の旅客機737MAXの運航を一時停止すると発表した。安全性に対する懸念を理由に挙げた。欧州連合(EU)や中国など各国の間で運航停止の動きが広がるなか、米国も同様の措置に踏み切った。

米連邦航空局(FAA)はトランプ大統領による運航停止の命令を受けて声明を出し、10日にエチオピアで同機が起こした事故の現場から得た新たな証拠や衛星データに基づく決定だと説明した。

FAAは2013年にもバッテリー発火問題を受けてボーイングの787型旅客機(ドリームライナー)の運航を一時停止しており、ボーイング機に対する運航停止措置は過去6年間で2度目。

エチオピア航空が運航する737MAX8型機が10日墜落し、乗客乗員157人全員が死亡したことを受け、同型機の運航を停止するよう米有力議員らの間から圧力が高まっていた。

FAAのダニエル・エルウェル長官代理は記者団に対して、ボーイングが進めている737MAXのソフトウエア修正は完了までに数カ月かかると説明。運航停止がどの程度続くのかは分からないと述べた。

ボーイングは同社機は安全だとあらためて主張しながらも、「同機の安全性について一般の利用者に安心してもらうため、慎重に慎重を重ねた措置として、FAAに世界中にある737MAX機全371機の運航を一時停止するよう提言することを決意した」と表明した。

<航空各社、乗客の予約取り直しに奔走>

737MAX機を運航するサウスウエスト航空<LUV.N>、アメリカン航空<AAL.O>、ユナイテッド航空<UAL.O>は、乗客の予約取り直しに取り組んでいると発表。サウスウエストが運航する737MAX8型機は34機で、世界で最も多い。アメリカンは8型機24機、ユナイテッドはMAX9型機14機を運航している。

フランスの航空事故調査局(BEA)は、墜落したエチオピア航空のボーイング737MAX8型機から回収したブラックボックスの解析を行うことを明らかにした。

ブラックボックスの解析を巡っては、737MAXに搭載されている新型のレコーダーは解析できないとしてドイツが引き受けない方針を示し、事故調査の行方に不透明感が生じていたが、フランスが引き受けると発表したことで解消された格好だ。

ボーイングの株価はFAAの発表を受けて取引時間中に3%超値下がりしたが、終値は0.5%高の377.14ドル。

ホワイトハウスによると、トランプ大統領はボーイングのマレンバーグ最高経営責任者(CEO)に電話し、運航停止の方針を伝えた。

トランプ大統領は記者団に「多くの航空会社と協議した結果、(運航停止が)正しい決定ということで意見の一致をみた」と述べた。

米国の航空労組は運航停止の決定を歓迎。全米運輸労働者組合(TWU)の幹部は、運航停止は「旅客と航空業界の従事者の双方にとって」正しいことと語った。

<運航停止、さらに広がる>

隣国カナダもこの日、737MAX機の運航停止を決定。当局は、衛星データに基づくと、エチオピア航空の墜落事故と昨年10月にインドネシアでライオン航空の同型機が起こした墜落事故との間に類似点が見られると指摘した。インドネシアの事故では189人が死亡している。

米国の航空機追跡会社エアリオンの広報担当は、同社がFAAとカナダ運輸省など複数国の当局に衛星データを提供したことを明らかにした。

エチオピア航空の広報担当者によると、10日の事故の原因は依然明らかではないが、パイロットが事故発生前、鳥と衝突するなどの外的要因ではなく、飛行制御に問題が発生したと報告し、空港への引き返しを求めていたという。

ブラジル、メキシコ、パナマは13日、中南米諸国で最初に737MAXの運航停止に踏み切った。

*内容を追加しました。

Reuters
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