ノートルダム寺院の尖塔デザイン公募へ、修復巡り賛否両論

2019/04/18
更新: 2019/04/18

[パリ 17日 ロイター] – フランス政府は17日、ノートルダム寺院(大聖堂)の火災で焼け落ちた尖塔の修復に関し、デザインを世界中の建築家から公募すると発表した。

フランスでは、同寺院の尖塔を元通りの外観に修復すべきか、それとも近代的な要素を取り込むべきか、を巡りすでに議論が始まっているが、政府の発表によってこの議論が一段と活発になりそうだ。

マクロン大統領は16日、同寺院を今後5年以内に修復すると表明した。修復には著名実業家や国際的企業、地方自治体、個人が相次いで寄付や専門家による支援を申し出た。支援総額は17日時点で約9億ユーロとなっている。

ノートルダム寺院の建築は12世紀半ばに始まり、それから約200年にわたって築き上げられた。その後1800年代半ばの修復期間中に建築家ウジェーヌ・ヴィオレ・ル・デュクが尖塔を付け加えた。

フィリップ首相は「国際的なコンペティションでは、尖塔をヴィオレ・ル・デュクによるものとされる設計通りに再建すべきかどうかを問い掛けることが許される」と指摘。「それとも、文化遺産を発展させる局面ではよくあるように、ノートルダムにわれわれの時代の技術と兆戦を反映した新たな尖塔を付けるべきかどうか」について検討すべきだと語った。

パリは伝統を守る傾向が強く、現在は国家的に親しまれているエッフェル塔やルーブル美術館のガラス製ピラミッドでさえ、当初は敬遠されていた。そのパリでは、ノートルダムの外観を変えることは支持されない可能性がある。

2000年から2013年までノートルダム寺院の屋根裏などの修復を手掛けた建築家ベンジャミン・ムートン氏は、修復に建築当時と同じ建材を使うという原則にこだわることは無意味であり、同寺院は既に「大きく変えられ、補強されている」と指摘。「一方でわれわれは寺院の輪郭を作り直し、尖塔を再建しなければならない。それは私にとっては絶対に必要なことだ」と述べた。

Reuters
関連特集: 国際