大紀元時報

アングル:対中戦争、トランプ関税のしわ寄せに苦しむのは誰か

2019年05月09日 12時49分
5月5日、トランプ米大統領は、2000億ドル(約22兆円)相当の中国製品に対する関税を現在の10%から25%に引き上げると表明した。写真はロサンゼルス港に停泊中のコンテナ船。1月撮影(2019年 ロイター/Mike Blake)
5月5日、トランプ米大統領は、2000億ドル(約22兆円)相当の中国製品に対する関税を現在の10%から25%に引き上げると表明した。写真はロサンゼルス港に停泊中のコンテナ船。1月撮影(2019年 ロイター/Mike Blake)

Rajesh Kumar Singh

[シカゴ 5日 ロイター] - トランプ米大統領は5日、2000億ドル(約22兆円)相当の中国製品に対する関税を現在の10%から25%に引き上げると表明した。

トランプ政権が関税措置の第1弾を発動した2018年1月以降、米国は2500億ドル相当の中国製製品や他国製も含めた鉄鋼やアルミニウム製品、洗濯機や太陽光発電パネルに関税を課している。

「関税マン」を自称するトランプ大統領は、製品や鉄鋼製品からの税収で国庫が潤っていると主張する。

米税関国境警備局(CBP)のデータによると、2018年2月以降に課された関税を通じて、米政府は3月中旬までに正味156億ドルを手にした。2018年10月から始まった今年度上半期の関税収入は、前年同期比89%増の347億ドルに達したと、米財務省のデータは示している。

●誰が関税を負担しているのか

トランプ氏は、中国製品に対する米国の関税は、中国側が負担しているとしている。

「この10カ月、中国は米国に関税を支払っている」。トランプ氏は5日、こうツイートした。

また、1月24日には、「財務省に中国から数十億ドルが流れ込んでいる。以前は10セントたりとも入っていなかったが、今では数十億ドルだ」と発言している。

●関税はどのように支払われるのか

関税とは、輸入製品にかかる税金を指す。CBPは一般的に、輸入業者に対し、通関から10日以内に関税を支払うよう義務付けている。

したがって、関税は、輸入した企業が米政府に支払うことになる。中国製品を輸入する企業のほとんどは、米企業、または米国に登録がある外国企業の子会社などだ。

米国に輸入される全製品には、法的に定められた関税番号が付与されている。輸入業者は、輸入する製品の関税率やその他の税率などを調べ、税額を計算して納付する。

CBPは、納付金をチェックし、もし不足があれば米税関が輸入業者に代わりの請求書を送付する。

●米輸入業者は、中国供給元に関税分を転嫁するのか

一部の業者は転嫁している。したがって、中国企業も関税の一部を負担している。

輸入業者側が関税負担を処理する方法はいくつかある。

1.関税を全額支払い、利幅減を受け入れる。

2.コスト削減で関税引き上げの影響を相殺する。

3.関税引き上げの影響を相殺するため、中国のサプライヤーに値引きを求める。

4.中国以外のサプライヤーを探す。一部の中国企業は取引を失うことになる。

5.小売価格を引き上げ、関税コストを消費者に転嫁する。

多くの業者は、これらの手段を取り交ぜて、自社やサプライヤー、消費者、バイヤーの間でコストを分散させることが可能だ。

●実際はどう影響しているのか

例えば、米重機大手キャタピラー<CAT.N>の生産コストは、鉄鋼や中国製品に対する関税引き上げの影響で昨年1億ドル以上、上昇した。そのため同社は値上げに踏み切っている。

農業機械大手ディア<DE.N>は、トランプ政権による対中製品関税引き上げにより、今年1億ドルの原材料調達費の増加を見込んでいる。ディアでは、利益を守るためコストを削減し、価格を引き上げた。

米議会調査局(CRS)の2月報告書によると、関税措置の影響で、米国では洗濯機の価格が関税導入前の2018年1月から12%増加した。

ピーターソン国際経済研究所の調査によると、鉄鋼とアルミニウムへの関税で、鉄鋼製品の価格は昨年9%近く上昇し、鉄鋼製品を利用する業者のコスト負担が56億ドル増加した。

また、米ニューヨーク地区連銀、プリンストン大、コロンビア大による研究では、中国製の鉄鋼・アルミニウムに対する関税によって、企業や消費者が抱える税負担は月30億ドル上昇。企業はこれに加え、効率低下で14億ドルの負担を負っている。

●中国企業の負担は

中国側は、米国の関税措置に対抗し、米製品に関税措置を講じた。

中国における輸入企業は、ほとんどが中国企業だ。従って、米政府が輸入中国製品に対する関税を米輸入企業から受け取っているのと同様に、中国政府も米製品の関税を中国輸入業者から徴収している。

●関税収入の規模は

トランプ政権は、500億ドル相当の中国製品に25%、さらに2000億ドル相当の製品に10%の関税をかけている。

理論上、これらの措置により、米政府はそれ以前からの関税収入に加えて、年間325億ドルの追加税収を手にすることになる。

2018年の米国の関税収入は497億ドル。貿易戦争前の2017年の352億ドルから41.2%増加した。

中国は、500億ドル相当の米製品に25%の関税を課しているほか、600億ドル相当の製品に5─10%の関税をかけている。これは、155億─185億ドルの税収に相当する。

2018年の中国の関税収入は2848億元(4兆6680億円)で、2017年の2998億元から減少した。

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

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