大紀元時報

中国、米中貿易協議に鍾山商務相を投入 対米強硬派と米警戒

2019年07月15日 14時05分
写真はムニューシン米財務長官(左)、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表(中)、中国の劉鶴副首相(右)(Alex Wong/Getty Images)
写真はムニューシン米財務長官(左)、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表(中)、中国の劉鶴副首相(右)(Alex Wong/Getty Images)

米メディアなどによると、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表とムニューシン財務長官は9日、中国の劉鶴副首相と鍾山商務相と電話会談を行ったという。鍾山商務相が、米中貿易協議に新たに加わったことが分かった。

トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は6月末、5月以降に中断していた米中通商協議の再開で合意した。

米紙ワシントン・ポスト10日付は、鍾山商務相が初めて協議参加者として名前を出したことに注目した。米政府高官と与党共和党関係者は、トランプ政権は、米中貿易合意が難しくなると懸念を示している。トランプ政権は鍾氏を対米強硬派と見なしているという。

米中央情報局(CIA)の元中国問題アナリストは同紙に対して、交渉の席に鍾氏が加わったことは、今までの協議で劉副首相が局面を突破できなかったことへの中国当局の失望感を反映しているとの見方を示した。中国指導部は、より政治的な手腕を発揮できる人を交渉に参加させたい狙いがある。「中国当局は、鍾氏に対してより強硬な姿勢を出すようにと指示したかもしれない」

トランプ大統領の元補佐官、スティーブン・バノン氏は、鍾山氏について「強硬派中の強硬派だ」とした。

劉副首相への批判

中国共産党内の左派は、劉鶴副首相を「降伏派」「売国奴」と痛烈に批判している。

昨年5月17日から、米中双方は10回の通商協議を行ってきた。今年5月初めまでに、懸案事項の9割程度は合意に至ったが、中国側が突如約束を覆した。

香港紙・蘋果日報は今月4日の報道で、中国指導部内では5月、通商協議の合意草案について「激しく論争した」と伝えた。「ある高官は、劉鶴氏はなぜこの『主権を失い国を恥辱にさらす』売国条約を結んだのかと非難した。劉氏には『政治敏感度(政治のセンス)』が全くないと批判した」という。

蘋果日報によると、習近平国家主席は「すべての責任が私にある」と劉鶴副首相を擁護した。

5月21日、習近平氏と劉鶴氏一行は、江西省のレアアース生産企業を視察した。国営中央テレビ放送(CCTV)が報道を行った。

「降伏派」と「強硬派」の論戦

劉鶴副首相に近いエコノミスト、彭文生氏は6月26日、中国メディア「快資訊」に評論記事を掲載した。彭氏は、国有企業への優遇措置を是正する「競争の中立性」の重要性を訴えた。「貿易摩擦を解決するには、まず競争の中立性と対外開放を実施しなければならない」

上海財経大学経済学院の田国強院長も、6月末の講演で米中貿易戦を終息させるには、改革開放を加速させる必要があると主張した。

王岐山・国家副主席と近い関係にある「財新網」は7月8日付の記事で、「外国政府からの改革開放の要求は中国の発展に適しているにも関わらず、一部関連部門の激しい抵抗に遭っている。理解しがたいことだ」との論調を見せた。

その一方で、中国国営新華社通信は6月26日、「手りゅう弾を後方に投げる人に警戒せよ」というタイトルを付けた記事で、「米中の対戦において、手りゅう弾を後方(自陣)へ投げ込む人が要る」と、米側の要求を受け入れ構造改革を行う意思のある高官を暗に批判した。

中国最高指導部のなかでは、習近平氏、汪洋氏、李克強氏、栗戦書氏、王岐山氏が、米中貿易戦の激化を懸念し、米側に一定の歩み寄りを見せている。

王岐山氏は今年1月、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で演説を行った際、中国は「積極的に構造改革を行う必要がある」と述べた。これは米中貿易戦以来、中国当局の指導者が初めて公の場で、構造改革に前向きな姿勢を示した。

6月7日、習近平国家出席がロシアを訪問中、米中通商協議に言及し、トランプ米大統領を「友人だ」と話した。新華社通信は翌日の報道で、習近平氏のこの発言を報じなかった。7日の報道で、米中貿易交渉の「降伏派」を再び厳しく批判した。

李克強首相は7月2日、大連市で開催された夏季ダボス会議開幕式で講演した。首相は、中国国内で外資企業が証券や生命保険事業に参入する場合の出資規制の撤廃を、「当初予定の2021年から1年前倒して、2020年にする」と明言した。

新華社通信は同日の報道で、李首相のこの発言を削除した。

在米時事評論家の袁斌氏は、新華社通信が指摘した「手りゅう弾を後方に投げ込む人」とは、習近平国家主席や李克強首相、劉鶴副首相、汪洋氏らの対米穏健派を指しているとの見方を示した。

「新華社通信は中国共産党の代弁者だ。党内序列5位の王滬寧氏が党のプロパガンダや思想教育を担当し、すべてのメディアを統括している。新華社通信の記事は、王滬寧氏の考えを反映したのだろう。王氏は、米中通商協議をめぐる『降伏派』を批判し、反米的な言論を強化することで、習近平国家主席に圧力をかけ、米国と完全に決裂させようと企てている」

(翻訳編集・張哲)

関連キーワード
^