ハルビン市道外区の抗体検査報告を入手、感染者数は公表の200倍か

2020/04/26
更新: 2020/04/26

中国当局の公表や市民への取材では、中国東北部の黒龍江省中共ウイルス新型コロナウイルス)の感染者が急増していることが明らかになった。大紀元がこのほど入手した情報では、同省ハルビン市で感染が確認された患者数は、実際の公表より200倍以上の可能性がある。

大紀元はこのほど、4月10日、ハルビン市道外区の「血清抗体特異性検査の陽性患者状況統計表」を取得した。この日、同区疾病管理センターは、34人の血清抗体検査結果が陽性となったことを市政府に報告した。このうち、30人のIgM抗体が陽性(弱陽性を含む)で、IgG抗体が陰性となった。4人のIgG抗体が陽性で(弱陽性を含む)で、IgM抗体が陰性だった。

一般的に、IgM抗体は感染の初期に体内で産生される抗体に対して、IgG抗体はIgM抗体より遅れて出現し、感染から数日経って産生される。このため、道外区疾病管理センターが報告した34人の感染者の中で、少なくとも30人が直近に感染し症状が現れた者で、残りの4人がすでに感染が確定された、あるいは既往の感染者であると推測できる。

ハルビン市道外区疾病管理センターが提出した4月10日の血清抗体検査統計表(大紀元)

中国衛生当局、国家衛生健康委員会が3月公布した「新型コロナウイルス肺炎の診断・治療方案(試行第7版)」では、血清抗体検査を中共ウイルスの感染確認の基準項目の1つにした。同月、黒龍江省衛生健康委員会も各医療機関に、血清抗体検査を実施するよう指示した。

ハルビン市道外区の4月10日付抗体検査統計表には、「病例のタイプ(確診症例/無症状感染者/海外から輸入症例)」との項目があった。これによると、抗体検査で陽性になった34人は全員症状のある「確認症例」で、無症状感染者ではないことが分かった。

一方、中国当局の発表では、4月10日、ハルビン市では新たに感染者1人が確認され、累計感染者数が2人、無症状感染者は4人。

しかし実際に、4月10日、同市道外区だけでも、34人の感染が確認されている。中国当局の公表の17倍であった。

ハルビン市政府の統計によれば、市内に18の区・市・県があり、2018年末時点の全市の常住人口は1085万8000人だ。そのうち、道外区の常住人口は79万人で、全市人口の7.3%を占める。人口当たりの中共ウイルスの感染者数を試算すれば、4月10日、ハルビン市全体の感染者数は、道外区(34人)の14倍の467人である可能性が高い。これは、中国当局が公表した感染者2人の233倍だ。

道外区の4月10日付抗体検査統計表は、現地の感染実態が大紀元の推測と比べてより深刻であることを示している。

同統計表の「指定病院に移送されたか・病院の名前」との項目をみると、34人の感染者のうち、20人だけが「市二院(ハルビン市第二医院)」に送られた。他の14人は指定のホテルで隔離されているままだった。

ハルビン市道外区疾病管理センターが提出した4月10日の血清抗体検査統計表(大紀元)

中国当局の診断治療方針では、感染が確認された患者を必ず指定病院に移送しなければならない。

14人が指定ホテルに留められた理由は、ハルビン市の指定病院では、新規感染者を受け入れられなくなったほど医療収容能力が限界になったと考えられる。

黒龍江省政府が1月29日の記者会見で感染状況を報告した際、ハルビン市内では、2つの指定病院と2つの予備収容病院があると明らかにし、計1400人の患者を収容できるとした。道外区の4月10日付統計表で推察すると、ハルビン市における実際の感染者数は1400人以上である可能性がある。

また、同抗体検査統計表は34件の確診症例を報告したが、無症状感染者に言及していない。

ハルビン市民の李さんは4月19日、大紀元の取材に対して、「市内の多くの団地で移動制限措置が実施された。団地の出入り口に検問所が設けられて、市職員らが24時間常駐している。特に道外区の警戒態勢が厳しい」と話した。

市政府が公表した感染者数について、李さんは「非常に少ない。誰もその公表を信じていない」「信じたら、良いことにはならないだろう」とした。

李さんによると、黒龍江省のチチハル市でも感染が急拡大している。「黒龍江省は第2の武漢市になろうとしている。政府は情報を隠ぺいしているし、ネット上で情報を流した市民を取り締まっている」

中国メディアの報道によれば、ハルビン市政府は4月22日、感染拡大防止措置をさらに強化するよう各部門に指令した。市政府は、鉄道の駅や空港などでの検疫対策を強め、海外からの入国者や、感染が深刻な他省の住民がハルビン市に入った場合、隔離措置をとる。各村、各団地には、地元ではない車両・人の進入を認めない。各村などの出入り口に検問所を設置し、住民の検温、マスクの着用状況のチェックなどをしなければならない。人の接触を減らすため、葬儀や婚礼などを含む住民間の集まりや会食、各イベントや展示会の開催を禁止するという。

(記者・何堅/常春、翻訳編集・張哲)

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