トランプ氏弾劾裁判、9日開始 冒頭は合憲性巡る審理へ

2021/02/09
更新: 2021/02/09

[ワシントン 8日 ロイター] – 米連邦議会で1月に起きた騒乱を扇動したとして下院で弾劾訴追されたトランプ前大統領の弾劾裁判が9日正午に上院で始まる。関係筋によると、冒頭には大統領退職後のトランプ氏に対する弾劾裁判の合憲性を巡る審理が行われる見通し。

トランプ氏の弁護団は先週、私人であるトランプ氏を弾劾裁判の対象とするのは違憲とする書面を提出。弁護士のブルース・キャスター、デービッド・ショーン、マイケル・バンダービーンの各氏は8日に出した弁論趣意書でも「公職にない私人の弾劾は(憲法の)規定にはない」と強調し、裁判は「この劇場型政治を切望する」民主党による「恥知らずの政治的行為」で、「政敵と少数政党を黙らせる」狙いがあるとした。

下院は1月13日に「反乱の扇動」を理由にトランプ氏を弾劾訴追した。1月6日に数百人に上るトランプ氏支持者が議会議事堂を襲撃する少し前にトランプ氏が支持者を前に行った演説が問題視されている。

弾劾裁判で検察官役を務める民主党の下院議員9人は趣意書で「トランプ氏の行為について確かな証拠がある」と強調。「トランプ氏は自らの行為についてまっとうな言い訳も弁護もできない。責任を逃れようとしても全くの無駄だ」とした。

弾劾裁判で有罪評決となるには出席議員の3分の2の賛成が必要で、共和党から17人造反すれば実現する。ただ、弾劾裁判の停止を求めて提出された動議に関する先月の採決の結果や公の場での発言を踏まえると、共和党から十分な有罪支持票が集まる可能性はほとんどないとみられる。

トランプ氏の弁護団は、トランプ氏が1月6日の演説で支持者に対し、議事堂に赴き「死に物狂いで戦う」よう呼び掛けたのは「比喩的な表現」でしかなかったと主張。「戦う」という言葉が「暴力行為を促したとは解釈できない」とした。

武装し、戦闘態勢で自発的に議事堂に赴いた「犯罪者の小集団」による行為の責任をトランプ氏に負わせることはできないとした。

議事堂乱入後に起訴された約200人のうち数人は裁判所で、トランプ氏の責任に言及している。

民主党議員は一方、下院がトランプ氏を弾劾訴追したのは同氏が「不評を買う政治発言を行ったから」ではなく、「故意に政府に対する暴力的反乱を扇動したからだ」と訴えた。

関係筋によると、9日は4時間審理が行われ、大統領退職後のトランプ氏に対する弾劾裁判が違憲かどうかについて採決が行われる見通し。10日正午からは最長で32時間の弁論が予定されている。

*内容を追加しました。

Reuters
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