大紀元時報

195万党員名簿流出、習氏娘の個人情報流出…中国、横行する個人情報売買 警察官が関与 

2021年02月12日 18時48分
中国で個人情報の違法な取引がはびこっている(Getty Images)
中国で個人情報の違法な取引がはびこっている(Getty Images)

今年1月、上海市の195万人の共産党員名簿流出事件は各メディアによって取り上げられ、話題となった。上海に進出した日本企業に共産党支部が設置されたこと、党員の氏名、性別、身分証番号、住所、勤務先、所属する党委員会など詳細な個人情報の漏えいは日本社会に衝撃を与えた。

2019年7月にも、中国の習近平主席の娘の個人情報がネット上に流出した事件があった。この事件で未成年を含む24人の若者が逮捕され、最高14年の実刑判決を言い渡された。

2つの流出事件は悪俗ウィキ(悪俗維基)と呼ばれる掲示板サイトの利用者が関与している。現在、日本滞在中の悪俗ウィキの設立者・肖彦鋭氏は大紀元の電話取材に応じ、これらの個人情報は中国の警察官から入手したとの事実を明かし、中国ではびこる個人情報の取引の実態を語った。

悪ふざけが高じて上層部の個人情報を入手

日本の掲示板サイト2chからヒントを得て、2013年に開設された悪俗ウィキは、ネット上で起きた事件と人物について「事実の暴露と記録」を行うとその運営目的を説明した。「人肉捜索」という個人を特定する手法で多くの個人情報をネットで晒してきた。

同サイトは、政治と距離を置くというスタンスで運営してきた。緩い結束で中高生や若者を中心とする利用者は中国国内、香港、日本、米国、豪などに在住している。政治の話題についての書き込みを禁止しているが、「精日」「精美」と呼ばれる親日親米の若者が、日中の歴史問題や体制批判についての投稿を繰り返していることから、支納ウィキ(シナ+ナチスの中国語:支那+納粹の頭文字をとって名付けた)というサイトを新設した。

悪俗ウィキとその関連ウェブコミュニティは悪俗圏と呼ばれ、上の2つのサイトと米国の華人が運営するサイト「紅岸基金会」はその主要な活動の場となった。

これらのサイトはいままでも個人情報を公開していたが、当局は見て見ぬ振りをしていた。肖氏は「当時、摘発されても、訓戒か罰金で済むだろうと思っていた」と話した。「裏を返せば、当局に個人情報を保護する意識は全くなかった」と指摘した。

しかし、2019年7月、習近平氏の娘・明沢氏の個人情報が「紅岸基金会」経由で流出したあと、状況は一変した。

肖氏は、習明沢氏の情報を流出させたのは紅岸基金会のメンバーで、入手先は「警察官」だと述べた。流出した習明沢氏の戸籍情報には、氏名、生年月日、身分証明書、パスポート、そして改名後の氏名・楚晨などが記載されている。習明沢氏のほか、習近平氏本人、中国外交部の華春瑩報道官、李鵬元総理、新疆トップの陳全国書記、北京市トップの蔡奇党委書記などの個人情報も同サイトによって流出した。

紅岸基金会のメンバーが海外にいるため、流出に無関係の悪俗ウィキと支納ウィキは当局にターゲットにされた。

2019年8月、中国各地で数百人のネットユーザーが逮捕された。昨年12月、騒乱挑発とプライバシー侵害の罪で、未成年者を含む24人は最高14年の実刑判決を言い渡された。

肖氏は、共産党上層部関係者の情報の流出に「一部の共産党に不満を持つ人」が関与したと語った。悪俗ウィキのメンバーに元国家主席の親戚や、アリババグループのアント・フィナンシャル幹部の子弟などがいる。

同氏によると、「近年、体制内でも政権に不満を持つ人が増えている。高官子弟は日頃、家庭でそういう不満を聞かされているため、彼らも政権に嫌気がさしている」という。悪ふざけのノリと反体制の考えが入り混じり、彼らの行動はどんどんエスカレートし、ついに共産党上層部の個人情報の入手を試みた。

高官子弟は親の庇護があるから、多少度が過ぎることをしても、処罰されないと考えているようだ。

実際、逮捕された24人には、高官子弟らは含まれていない。代わりに悪俗ウィキに技術支援を提供する牛騰宇さん(20)が逮捕され、14年を求刑され、24人の中で最も刑期が長い。

牛さんは政治問題に踏み込まないように、日頃から人一倍気をつけているという。女手一つで育てられ、独学でIT技術を学び、天才ハッカーとの異名を持つ牛さんは逮捕後、ひどい暴行を受けたうえ、長時間吊るし上げられ、現在右腕が不自由になった。

習近平主席の娘とされる人物の個人情報が流出(支納ウィキのHPより)

いとも簡単に流出する個人情報 警察官が協力

上海の195万人共産党員名簿の流出事件もまた、上海警察の協力を得ていると肖氏は証言した。

肖氏によると、中国では警察官による個人情報の取引が横行している。下っ端の警官は待遇が低いため、「戸籍の写真を撮るだけで、1枚が20~30元(約300〜450円)で売れる。1日、数十件の取引があるので、彼らにとって良い収入源になっている」という。習近平氏とその娘の個人情報の購入値段は6000元(約9万円)と高額だった。

取材中、肖氏からあるファイルが送られてきた。ある市民の個人情報をまとめた資料だ。生年月日、性別、最終学歴など基本情報のほかに、基礎データのページに「交通違反の履歴」「出入国の履歴と目的」「運転免許証の詳細」が書かれている。「行動履歴」のページには国内旅行の日付、宿泊ホテル、チェックイン・チェックアウトの時刻、旅行先と国外旅行の目的地、パスポート番号、出発空港なども掲載されている。つまり、市民の全ての動きは監視され、その記録はいつでも漏洩のリスクに晒されているということだ。

戸籍管理、出入国管理、交通違反などの情報にアクセス可能な警察官は「個人情報の闇取引に手を染めている」という。とくに出入国管理に関わる警官は出入国履歴を入手できるため、「こういう情報は高値で売られている」。また、宅配便の配達員も配達先の情報を売っている。

「日本人も中国に入国したら、一挙手一投足が監視され、丸っ裸に晒されることになる」と肖氏は言う。

流出された市民の個人情報に行動履歴が詳細に記録されている。(肖彦鋭氏提供)

(李沐恩)

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