経産省、繊維産業の「人権」調査指針を制定へ 新疆ウイグル問題念頭に

2021/07/12
更新: 2021/07/12

経済産業省は12日、繊維業界の持続可能性に関する報告書をまとめた。サプライチェーン(供給網)から強制労働など人権侵害のリスクを排除し、企業が確認する指針の制定を業界団体に求める。背景には、欧米では強制労働が疑われる中国・新疆ウイグル自治区産の綿製品を排除する動きの広がりがある。

特定産業の持続可能性を取り上げた政府報告書は、今回が初めてだという。

経産省と日本繊維産業連盟は今後、国際労働機関(ILO)と連携し、来年までにガイドラインをまとめる見通しだ。

ガイドラインには、労働時間、公正賃金、児童労働、強制労働など人権侵害の有無など、サプライチェーンが適切に管理されているかを評価する項目が含まれる予定。

6月に閉幕した先進7カ国首脳会議(G7サミット)では、中国による新疆ウイグル自治区での人権侵害を念頭に、世界的なサプライチェーンでの強制労働問題に深い懸念と根絶へ連携強化を表明した。

中国政府による新疆ウイグル人への深刻な人権侵害をめぐって、米国と英国、カナダ、欧州連合(EU)が相次いで中国当局者に資産凍結などの制裁を科した。日本だけが制裁に加わっていない。

一部の欧米アパレル企業はすでに、中国のウイグル問題に懸念を示し、ウイグル産の「新疆綿」の調達停止を表明している。

日本の衣料品チェーン大手「ユニクロ」の綿製シャツは、新疆の強制労働をめぐる米政府の輸入禁止措置に違反したとして、今年1月に米税関・国境警備局によって輸入を差し止められた。

今月、フランスの司法当局は、人道に対する罪の隠匿の疑いで「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングなど計4社への捜査を始めた。

今年、H&Mやナイキといった複数のブランドがウイグル人の労働環境への懸念を表明したため、中国の消費者はボイコットを呼びかけた。

米政府は、ウイグル産の綿製品やトマトの輸入禁止に続き、先月では新疆に拠点を持つシリコン製造大手、合盛硅業(ホシャイン・シリコン・インダストリー)に強制労働の疑いがあるとして、太陽光発電パネル部材などの輸入を禁止したと発表した。

(翻訳編集・李凌)

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