大紀元時報

中国30万人の引退したスポーツ選手 8割近く失業、怪我、病気、貧困に直面 

2021年7月29日 16時12分
2021年3月18日、河北省保定市の駐車場で、スマートフォンを三脚に立ててライブ配信している元体操世界チャンピオンの張尚武さん(Photo by NICOLAS ASFOURI/AFP via Getty Images)
2021年3月18日、河北省保定市の駐車場で、スマートフォンを三脚に立ててライブ配信している元体操世界チャンピオンの張尚武さん(Photo by NICOLAS ASFOURI/AFP via Getty Images)

中国のスポーツ選手は、国際大会でメダルを獲得したとしても、生活を営むことも難しいという。北京ローカル紙「北京晨報」は、中国には30万人の引退したスポーツ選手がおり、その8割近くが失業、怪我、病気、貧困に直面し、社会的支援を必要としていると報じた。

ウエイトリフティング女子のチャンピオン、引退後に生活困窮

ウエイトリフティング女子チャンピオンの黄燕蘭さんはトレーニング中に障害等級9級のけがをした。しかし、2005年にわずか4000元(約6万7900円)の補償金と4万元(約67万9千円)の退職金しか受け取ることができず、障害を負った後、困窮した生活を送ることになった。

1998年、黄燕蘭さんは全国ジュニア女子ウエイトリフティング大会で初優勝を果たした。その後、彼女は4年連続で連勝した。しかし、2001年に「第9回中華人民共和国全国運動会」(全運会)に向けて準備をしていた黄さんは、トレーニング中に負傷し「第6腰椎と第7腰椎の脱臼骨折」により障害等級9級と診断された。さらに4年間、ケガを負ったままトレーニングを続けたものの、第一線に戻ることはできず、選手人生から退いた。

社会に出たばかりの黄燕蘭さんは就職先を探すも、面接では「ウエイトリフティングのほかに何ができるの?」と聞かれ、毎度言葉を失った。小さな頃からスポーツ以外の教育を十分に施されることなく育った黄燕蘭さんにとって、その道以外の生き方は難しく、ようやく就いた仕事も長続きしない。生活を維持するお金もなく、無力感に苛まれた。

中国のスポーツ体制に苦しめられる引退選手

中国共産党は、金メダルを競うために国家的なスポーツ体制を採用し、県、省、市のスポーツ学校から、国家体育総局直轄の各種トレーニングセンターまで、厳しいトレーニング体制を確立した。

多くの子どもたちは、5〜6歳の頃からジュニアスポーツ学校に入学し、特定のトレーニングを受け、優秀な子どもたちはスポーツ学校に進学するか県や省のスポーツ隊に参加させる。この厳しいトレーニング体制から、ごく少数の世界チャンピオンや金メダリストが生まれる。

しかし、中国のスポーツ体制では、スポーツ選手に対する保障はトップレベルの選手に集中しており、たいていの選手は引退後の生活に苦労する。

中国国営テレビ(CCTV)によると、かつて遼寧省の省チームのウエイトリフティング選手として40以上の全国チャンピオン、アジアの大会で20以上のチャンピオンを獲得した才力(さい・りき)さんは、引退後に病気で倒れ、瀋陽市の遼寧省体育運動技術学院の警備をしていたが、2003年に亡くなったという。

中国で元ウエイトリフティングチャンピオンである鄒春蘭さんは引退後、小さな銭湯で垢すりの仕事を従事することになった。脚光を浴びたスポーツの舞台からの落差がメディアで明らかにされ、国内では衝撃が走った。

前出の黄燕蘭さんは2008年、同じくスポーツ選手から引退した夫の莫君成さんは、友人から数万元を借りて広西に小さな店を構え、燒鹵屋(*燒鹵:広西の軽食)を経営を始めた。彼女は以前、メディアに対して「自分は中国共産党のスポーツ体制の犠牲者だ」と語ったことがある。

(蘇文悦)

参考記事:元オリンピック選抜選手 貧困に苦しむも権力と金銭に屈せず
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