APEC、参加国首脳陣がパンデミック対策強化で合意

2021/08/09
更新: 2021/08/09

2021年7月中旬に開催されたアジア太平洋経済協力(APEC)の非公式首脳会議に参加したジョー・バイデン米大統領、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領、習近平中国主席を含む参加国首脳陣は、パンデミック対策として新型コロナウイルス感染症ワクチンの共有と製造の拡大に取り組むとの声明を発表した。

ウイルスのデルタ株により諸国の感染が悪化している状況を踏まえ、参加国首脳陣は「相互に合意した条件下」でワクチン製造技術の自主的な移転を奨励すると述べている。

議長国であるニュージーランドが今回仮想形式で開催した非公式首脳会議後、首脳陣は共同声明を通して、「パンデミックにより、現在も参加国地域の住民や経済に壊滅的な影響が発生している」と強調した。

首脳陣はまた、「公衆衛生緊急事態を克服するには、品質と安全性が保証された効果的かつ手頃価格のワクチンの公平な配布を加速すること以外に手段はない」と述べている。

この非公式会議は議長国のニュージーランドが2021年11月の正式会合を前に開催したもので、こうした追加の会合が開かれたのは今回が初事例となる。

「今回の議論ではワクチン・ナショナリズムから脱却し、ワクチンの製造、共有、使用など、世界的な予防接種の展開に繋がるあらゆる側面に焦点が当てられた」と述べたニュージーランドのジャシンダ・アーダーン(Jacinda Ardern)首相は、将来的に発生し得るパンデミックへの備えが重要であるという意見で参加国首脳陣が一致したと付け加えている。 オーストラリア、インドネシア、タイなどの諸国がコロナ禍の第2波・第3波に直面していることから、今回の会議では地域で猛威を振るう感染症に対する懸念の高まりに焦点を当てることが目的であった。 米国政府の発表によると、バイデン大統領は多国間協力の重要性と共に自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取り組みを強調している。 米国政府の声明は、「バイデン大統領は次に発生し得るパンデミックに備えて世界的な公衆衛生の安全性向上に投資することの重要性も訴えた」と伝えている。 プーチン大統領はワクチンの生産や配布を巡る世界的な障壁を取り除く必要があると指摘している。 会議の議題では合意に至ったものの、コロナウイルス起源を巡る対立や貿易問題、中国共産党による新疆ウイグル自治区や香港の弾圧、そして広範にわたる南シナ海水域の中国の領有権主張を起因としてアジア太平洋経済協力参加国の間、特に西側諸国と中国との間では依然として緊張状態が続いている。 非公式会議と日を同じくして、米国は中国による香港の民主主義弾圧を理由に中央政府駐香港連絡弁公室の中国人幹部等7人を新たに制裁対象に追加すると発表した。これまでも米国は、旧英国植民地の香港の民主機関を「組織的に阻害」した中国政府高官や組織に対して制裁を課してきた。 2021年6月に開催されたアジア太平洋経済協力貿易相会合では、不必要な貿易障壁を排除しワクチンや必要不可欠な物品の国間の輸送を迅速化・円滑化することでは合意に至ったものの、ニュージーランドが提唱していた関税撤廃への広範な措置には至らなかった。 アジア太平洋経済協力参加国では5,000万件以上の感染症例が確認されており、100万人を超える死者が発生している。   画像提供:ロイター

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