中共、過剰支援通じてウイグル人送還を協力させる「パキスタン・モデル」中東やアジア諸国に広げる=報告

2021/08/30
更新: 2021/08/30

中国は巨大な経済力を武器に、パキスタンにおけるウイグル人弾圧に着手している。中国は今やこの「パキスタンモデル」をアジアと中東全体に輸出しようとしていることが最新のレポートで明らかになった。

パキスタンは、中国のウイグル人弾圧に積極的に協力してきた最初の国だ。1997年にはテロリストとして告発された14人のウイグル人を強制送還した。彼らは全員、即決処刑された。

それ以来、中国は広域経済圏構想「一帯一路」の一環である「中国パキスタン経済回廊」を名目に、推定600億ドル相当のエネルギー・インフラプロジェクトを進め、パキスタンとの親交を深めてきた。

中央アジア問題のためのオクサス協会(Oxus Society for Central Asian Affairs)とウイグル人権プロジェクト(Uyghur Human Rights Project)がまとめた報告書は、これは「安全保障上のつながりを深めつつ、過度な開発プロジェクトを提供する」ことを中心とした中国の意図的な戦略の一環であるとし、パキスタン政府に影響を与え、同国のウイグル人コミュニティを標的とするのに効果的であると指摘する。

さらに同報告書は、中国政府は海外在住のウイグル人を追跡するためには近隣政府の協力が欠かせないとし、パキスタンとの関係をウイグル人を抱える他国に対する雛形として利用しようとしていると述べている。

報告書の執筆者の一人である中央アジア問題のためのオクサス協会のブラッドリー・ジャーディン氏は、ラジオ・フリー・ヨーロッパ(RFE)に対し、「パキスタンは、中東・中央アジアで展開している動向の前触れとなっている」と述べ、「中国とパキスタンの間で結ばれた協定や取り決めは、中国が現在、地域全体に広めようとしているモデルであることを示している」と語った。

国連の推計によると、新疆ウイグル自治区北西部の収容施設では、100万人以上のウイグル人やその他のイスラム教徒が拘束されている。そして現在、中国は海外在住のウイグル人にまでその触手を伸ばし、厳しい取り締まりを加速させている。

報告書の執筆者の一人であるアメリカン・エンタープライズ研究所のロバート・エバンス氏は、RFEに次のように語った。「中国の周辺国に住むウイグル人は、通信手段を監視され、行動を制限され、事業を停止され、拘束されて中国に送還されている」

パキスタンに注目

中国は新疆ウイグル自治区での虐待を否定し、いわゆる「再教育キャンプ」は職業訓練や宗教的な過激主義に対抗し、地域の安定を維持するためのものだと主張している。

世界ウイグル会議によると、海外には100万人から160万人のウイグル人が住んでいると推定されて、中央アジアとトルコに最も集中している。

中国の海外在住のウイグル人に対する政策は、パキスタンのイムラン・カーン首相をはじめとするエリート層からも支持されている。カーン首相は、中国の新疆ウイグル自治区に対する姿勢をたびたび擁護してきた。

7月1日、中国国営メディアのインタビューに応じたカーン首相は「我々は中国と非常に強い関係にあり、信頼に基づいた関係を築いている」「中国の新疆ウイグル自治区の主張を受け入れる」とその親中ぶりを露わにした。

報告書はウイグル人も在住する、アフガニスタンの状況にも焦点を当てた。

パキスタンとタリバンの結びつきは深い。中国は最近、タリバンの協力を得て、アフガニスタンのウイグル人武装勢力を標的にするため、外交的な働きかけを加速させている。

「中国とパキスタンがアフガニスタンに中国パキスタン経済回廊の延長を計画していることもあり、アフガニスタン在住のウイグル人の間では不安が広がっている」とエバンス氏は語る。

中国の中央・南アジアにおける勢力拡大は、巨大な経済基盤に加えて、インド、カザフスタン、キルギス、パキスタン、タジキスタン、ウズベキスタンの8カ国からなる多国間協力の枠組み、上海協力機構 (SCO)を通して行われてきた。

SCOはテロリズム、過激主義、分離主義(三悪)への共同対処を掲げているが、これらの悪は加盟国によって曖昧に定義されてる。そのため、SCO加盟国は「この緩い定義を利用して、海外の政敵を追い詰めることができる」と報告書は指摘する。

このような中国との協力関係はタジキスタンにも及んでおり、中国はアフガニスタン国境に沿って軍事基地を運営し、この地域のウイグル人武装勢力を監視し、拘束する可能性がある。

拡大する中国の「雛形」

同報告書は、中国が現地の治安機関の同意を得てスパイウェアプログラムを展開しているパキスタンにおいて、同国のウイグル人コミュニティに対するデジタル監視がもたらすリスクについても言及した。

2020年6月、デジタルセキュリティ企業・Lookout社は、中国がパキスタンの携帯電話にスパイウェアをインストールしていたと記録したレポートを発表した。

報告書によると、スパイウェアは主に、ウェブサイトや広告に掲載されているサードパーティーアプリを通じて、同国のウイグル人が所有するスマートフォンにインストールされていた。端末にインストールされると、位置情報、テキストや会話、連絡先情報などの個人情報がすべて収集され、保存される。

「新疆ウイグル自治区の独自のモデルが周辺地域、特にパキスタンに輸出され、採用されているのがわかる」とジャーディン氏は指摘する。

パキスタンの新聞Dawnが2017年に入手したリーク文書によると、中国パキスタン経済回廊はパキスタンにおける中国の監視プログラム拡大の基盤にもなっている。

同文書では、新たなタイプの電子監視システムや国境システムについて説明されている。ジャーディン氏は、地域全体でこのシステムが広範囲に導入される可能性について指摘し、「この技術の普及は、直接的な監視であれ、移動の自由を制限することであれ、コミュニティを危険にさらすことになる」と述べた。

カザフスタンでは、現在米国の制裁を受けている中国のハイテク企業ハイクビジョンと提携して、このプログラムを試行している。

同様に、米国の制裁下にある中国企業・中国電子進出口有限公司は、キルギスの首都ビシュケクのスマートシティの枠組みを拡大する中国のプログラムを通じて、キルギスの警察に顔認識ソフトウェアを無償で提供した。

「スマートシティは中国の雛形の一部だ」とジャーディン氏は指摘する。「これは、ウイグル人をターゲットにしたトップダウンのセキュリティ構造の一部だが、他のグループをターゲットに拡大することも可能だ」

(翻訳編集・蓮夏)